B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

ライフスタイルLIFESTYLE

 

◆伝統の鋳造技術を継承し
   新たなものづくりに挑む

 
140115ls77ex01.jpg
デザイン性の高い真鍮の花器や青銅の苔鉢
 茶道具や銅像、梵鐘など、古来より様々な分野で重宝されてきた銅器。現在、日 本の銅器はほとんどが富山県高岡市でつくられていると言います。高岡銅器の優れた鋳造技術は全国に知られ、400年にわたって脈々と受け継がれてきましたが、一時はライフスタイルの変容や職人の後継者不足から伝統存続の危機に立たされていました。
 
 そんな中、伝統工芸品の製造に留まらず、「素材」「技術」「デザイン」 をキーワードに、鋳物の新たな世界を切り開いたメーカーがあります。大正5年創業、現在も高岡を拠点に、革新的なものづくりを追求する 「能作」。能作は2003年からオリジナル製品の開発を始め、現在は国内外のデザイナーとのコラボレーションも積極的に展開しています。繊細なディテールの鋳造加工は、高度な技術があってこそ。テーブルウェアやインテリアなど、現代のライフスタイルに寄り添うモダンなプロダクツは、国内のみならず世界で話題を集めています。伝統を維持・継承するだけでなく、新たな創造により鋳物の新時代を切り拓く、能作のものづくりに注目してみましょう。
 
 

◆熟練の手仕事と新技術で
   素材を活かすデザインを実現

 
140115ls77ex02.jpg
140115ls77ex03.jpg
140115ls77ex04.jpg
140115ls77ex05.jpg
140115ls77ex06.jpg
140115ls77ex07.jpg
製品と同じ形状の型を枠に乗せ、周りに砂を突き固めることで鋳型を制作。溶かした金属を流し込み固め、旋盤で削り、ロクロで仕上げていく
 
140115ls77ex08.jpg
真鍮の風鈴「オニオン」。凛とした音色が響く
 能作は、鋳造前に鋳型を焼成・薬品処理をしない生型鋳造法を中心に、自硬化性鋳造法やロストワックス鋳造法、錫のような低融点合金の鋳造にも適した独自のシリコン鋳型鋳造法などの技術を巧みに使い分けます。さらに、熟練した職人の繊細な手仕事とNC加工といった新技術を組み合わせることで、伝統の枠にとらわれない柔軟な製品づくりを実現しました。
 
 一般的に 「冷たい」 という印象を持たれがちな金属ですが、能作のプロダクツは金属の素材の良さを活かし、様々な表情を引き出しています。たとえば、能作を一躍有名にした真鍮の風鈴。一点ずつロクロ仕上げを施し、生地表面の美しさを見せるだけでなく、真鍮ならではの澄んだ音色は多くの人を魅了しました。また、多彩なラインナップを展開する純錫鋳物のテーブルウエアも、錫の特性を存分に活かしたもの。古くから 「酒の雑味を除き、まろやかな味わいになる」「水が腐らない」 と、酒器や茶器に用いられる錫は、酸化しにくく抗菌作用があり、金属アレルギーにもなりにくい優れた素材です。表面に現われる素朴な凹凸は温もりを感じさせ、人肌に馴染みもよく、酒器や食器にうってつけ。富士山を模した盃や、老舗日本料理店プロデュースによる竹をモチーフとした酒器など、デザインの個性も豊かに、現代の食卓に華を添えています。
 
140115ls77ex09.jpg
日本の最高峰・富士山の細部まで表現された純錫製のぐい呑
140115ls77ex10.jpg
和の食卓に映える竹モチーフの酒器。一品ずつ職人による槌目仕上げ
 

◆より能(よ)い鋳物を
   より能(よ)くつくる

 
140115ls77ex11.jpg
金、銀に次ぐ高価な金属、錫。非常に柔らかく低融点なのが特徴
 これまでは、純錫は優れた素材であるいっぽう、非常に柔らかく曲がりやすい特性が欠点であると思われてきました。しかし、能作はデザイナーとのコラボレーションの中で、「欠点」 を逆転し、常識を覆す器を生み出したのです。「曲がる素材なら、曲がる食器をつくればいい」。このアイディアから生まれた、ユーザーが自由自在に形をアレンジできる 「曲がる食器」 は、今や能作の代名詞となっています。
 
 時代のニーズや自由な発想を取り入れることで、新たな伝統を生み出していく能作。テーブルウェアの他にも、伝統的意匠に遊び心を加えた雑貨を多数手がけ、高岡銅器の優れた鋳造技術を未来につなげようとしています。「より能(よ)い鋳物を、より能(よ)くつくる」――この精神をモットーに、これからも可能性を拡げ続けていくことでしょう。
 
 能作のプロダクツには、高岡市内の 「GALLERY SAKU」 他、日本橋三越本店や松屋銀座店、阪急うめだ本店といった百貨店、パレスホテル東京内にある直営店で触れることができます。ぜひ、手に取り確かめてみてください。伝統と革新が融合した逸品と出会うことで、永きにわたり受け継がれてきた技術や文化の新たな一面が見えてくるはずですよ。
140115ls77ex12.jpg
「曲がる器」はフラットな状態から籠状にも
140115ls77ex13.jpg
縁起の良い「8」の箸置は、曲げれば香立に
140115ls77ex14.jpg
洗練されたフォルムの真鍮製花器「そろり」
 
 
 
 
 
株式会社能作
〒939-1118 富山県高岡市戸出栄町46-1
TEL 0766-63-5080
 
東京オフィス
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-1-1 パレスホテル東京B1
TEL 03-6273-4720
 
GALLERY SAKU
〒933-0903 富山県高岡市熊野町1-28
TEL 0766-21-7007
定休日 月・火
営業 10:00~19:00(日・祝は~18:00)
 
http://www.shopnousaku.com (公式通販サイト)
http://www.gallery-saku.jp (GALLERY SAKU)
 
 (この情報は2014年1月15日現在のものです)
 
 
 
 

ライフスタイルランキング

関連記事