三宅裕司さんが主宰する人気劇団 「スーパー・エキセントリック・シアター」 の看板役者である小倉久寛さん主演の舞台 「ひとり立ち公演Vol.4 『チ・ヨ・コ・レ・イ・ト~ビターな大人のラブコメディ~』」 が、2013年2月に上演されます。今作で4回目となるこの試みは、小倉さんが50歳を過ぎてスタートした企画で、笑いあり涙あり、そして激しいダンスが繰り広げられる一大エンターテインメントです。今回は、小倉さんに講演を始めたきっかけや見どころ、舞台に対する思いをお聞きしました。
◆「ひとり立ち公演」に
挑戦したきっかけは?
「ひとり立ち公演」 を始めたきっかけですか・・・。当初、ものすごい志があったわけではなく(笑)、社交ダンスのコンテストに出場するというTV番組に出演した際、ぼくが運よく優勝したんですよ。それで、マネージャーから 「今ならまだ体が動くから、アクティブなパフォーマンスをしておいたほうがいいですよ!」 と提案がありまして。ちょうど50歳を過ぎたばかりで、スーパー・エキセントリック・シアター (以下SET) でも三宅裕司さんが気を使ってか、あまり体を動かさなくてもオイシイ役をつけてくれるようになっていたので(笑)、「じゃあ、いい機会だし」 と、この企画が始まりました。
ですから、まずダンスをメインに据え、もちろん私は役者なので、お芝居もコントも入れ・・・と、自分の持ち味を生かしたパフォーマンスを目指すことになったんです。
◆ダンスを見せ場にしたくて
練習を重ねていった
正直言って、ダンスは得意ではないものの、昔から音楽に合わせて体を動かすことは好きでしたね。この 「ひとり立ち公演」 では、ダンスを一つの見せ場にしたかったので、まず周りを固め(笑)、ブレイクダンスの世界チャンピオンになった植木豪君をはじめ、宝塚歌劇団出身の方にも参加していただきました。ダンスが上手な方と一緒に練習して、踊っている姿を横目で見ながら 「この振りはこうするのか」 と、あれこれやっているうちに、なんだか自分も上手くなったような気になってね(笑)。最初の公演時は、練習だけでヘトヘトになるし、一つの振りを覚えるのに丸一日かかったものです。ところが、2回、3回と回を重ねるごとに覚える時間は短くなり、だんだん体も順応していきました。慣れてくると楽しいですし、自分なりに上手く踊れるようになると、もっと踊りたくなるんですよね。
もちろん、まったく壁がなかったといえば嘘になります。でもね、壁は避けて前に行けばいいと思うんですよ。しっかり努力をしてみて、それでも越えられないと思ったら、壁を避けて前に進むことができる道を探せばいい。ぼくらの目的は、あくまでお客様が楽しんでくださることです。映像の世界なら一発勝負だと思って気合で乗り切ればいいかもしれませんが、舞台は毎日上演するものですから、無理はできない。たとえば、ぼくが無茶なブレイクダンスにチャレンジして怪我でもしたら、それこそお客様に迷惑がかかってしまうでしょう。
とにかく、誰もが楽しめる舞台を作りたいという気持ちはSETに参加して33年間、一貫して持ち続けています。三宅裕司さんが昔から掲げている 「わかりやすく、楽しく、おもしろく、興奮する舞台を」 に、影響を受けてきたのは間違いありません。「一つの舞台で、人間のあらゆる感情を喚起させられたら」 と、常に意識してきました。理想は、お客様も、演者も一体となって楽しめる舞台。一方通行ではなく、お客様のダイレクトな反応を意識しながら、一緒に作り上げていく感覚でしょうか。それがライブならではの楽しみだと思うんです。お客様と一緒になって、そして助けていただいて一緒に舞台を作ることができれば最高ですよね。