ハードルを高く持ち
覚悟を決めて進み続ける
俳優 北村一輝
4月9日より有楽町の日生劇場にて上演される、ミュージカル『王様と私』。王様役として主演を務めるのが、ミュージカル初挑戦となる俳優の北村一輝さんだ。ミュージカルへの挑戦について、「最初は断ったし、結構抵抗したんですけどね」と笑いつつ、「ハードルを高く持ち、良い意味で驚いてもらえるものを届ける」と力強く語ってくれた北村さん。その意気込みについて、詳しくうかがった。
心が通じ合う様をロマンティックに表現したい
ミュージカル『王様と私』は、現在のタイがかつてシャム国と呼ばれていた19世紀後半を舞台にした作品です。僕の演じる王様は、欧米列強に対して国を開くべきか否かという葛藤を抱えた人物。先代の国王の時代とも時流が変わる中で、さまざまな悩みを持ちつつも、王という立場であるために周囲にその悩みや自身の弱みを見せられません。
その中で、国の近代化を図り子どもたちに西洋式の教育を受けさせようと、イギリスから家庭教師を招きます。それが、明日海りおさんの演じる、アンナです。アンナは、一言で言うと王様の内面に遠慮なく入り込んでくる女性。王様は、会社で言えば経営者です。社員の前では見せられない一面も、アンナを通じて徐々に見え始めてきます。
アンナと関わっている王様を見ると、結構ピュアな一面があるなと感じています。彼のわかりにくい優しさを、アンナが掴みとってくれます。周囲の人々に強さを見せなければならず、孤独を抱えているけれども、その内側に純粋な心を持っています。アンナと心を通わせる過程を、ゆっくりとロマンティックに表現したいですね。
僕自身は、常にフラットでとても素直な人間だと思っています。思ったことはハッキリと言うタイプで、素直すぎるかもしれない(笑)。それは、例えばカメラが回っていても、回っていなくでも同じです。こうして取材を受けているときも、思ったことをそのままお話しするようにしています。
そのスタンスは、この仕事を始めた当初からあまり変わりません。まだ仕事に慣れていない頃は緊張もあり、どこまで意見を出して良いのか考えることもありましたけどね。でも、今ふり返ってみても、言っていることにそんなに変わりはないと思います。