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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

刀鍛冶の業と誇りを守り
築地と共に生きる包丁店

 

お客様に育てられ、伝統は次世代へ

 
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店内には幅広い品揃えで高品質な包丁が並ぶ
 そうなのか。使い手によって包丁の仕様が変わるとは知りませんでした。でも、プロ野球選手がバットを特注するように、腕の良い料理人であれば包丁を特注するのも当然なんだろうなぁ。
 
小川 包丁には 「こうじゃなきゃいけない」 という決まりはありません。使い手が 「使いやすい」 と感じたものが最高の包丁なんです。なおかつ、使っているうちに使用者の技術が高まったり、年齢を重ねたりすれば、使うべき包丁が変わってくることもあります。そうした細かい調整を、先代はお得意様に頼まれるまでもなく配慮していました。
 
 そうすると、先代はお得意様のことを熟知していらしたわけだ。
 
小川 はい。元々築地は街全体が身内のようなもの。今でこそ新しい店も増え、観光地的な要素も増してきましたが、古くから店を構える方々は築地を盛り上げていく仲間でもあります。そうした方とお話する中でニーズを汲み、業を磨く。つまり、お客様に育てていただくことで先代も当店もここまできたようなものです。
 
石川 先代は築地の世話役も務めていたため、今も築地の方々は先代を慕っておられます。また、そのおかげで私もたくさんの方にご指導を受けることができる。この仕事に就くまでは築地をほとんど知りませんでしたが、今では、家族のようなつながりを感じることがあります。
 
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小川 石川にはお客様と鍛冶場との調整役も担ってもらわなければなりません。お客様のご要望を聞き入れることは大事ですが、つくり手にはつくり手の誇りがありますから、それを活かさなければどんないい包丁も切れ味が悪くなります。
 
 よくわかります。サッカーでも監督の言うことは大切ですが、かといって選手の意見をないがしろにしていては試合には勝てません。両方の意見を尊重し、一つの方向に導く 「キャプテン」 という存在が必要です。さしずめ、石川さんは未来のキャプテンですね。
 
石川 私がキャプテンになるには、長い経験が必要だと思います。多くの方に薫陶を受けながら、成長していきたいと思います。
 
小川 あるお得意様からは、「石川の手が先代の手に似てきた」 という嬉しいお言葉をいただきました。普段は厳しいお得意様なので、その方から褒め言葉を授かったということは、石川の精進が実になりつつあるということだと思います。こうしたお客様の言葉を励みに、当社を、そして築地を盛り上げていってもらいたいですね。
 
 重圧は大きいでしょうが、石川さんには伝統の継承という大役をぜひ果たしてもらいたいですね。お二人の今後のご活躍に、期待しています!
 
小川 ありがとうございます。ご期待に添えるように精進していきます。また、本日は城さんにお越しいただき、お話をうかがえて非常に有意義なお時間を過ごせたことにも、お礼申し上げます。
 
 
 
 :: 店舗概要 :: 
   ■ 店舗名 東源正久
 ■ 所在地 〒104-0045 東京都中央区築地4-13-7
 ■ 事業内容 打刃物専門店
 ■ 設立 明治5年
 ■ 従業員数 全国卸売市場/荷受会社/仲卸業者/調理師業界全般 他
 ■ ホームページ http://www.tsukiji-masahisa.jp