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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

 
プロフィール 千葉県出身。日本の大手電機メーカーにてTVブラウン管の開発に携わった後、大手鉄鋼会社に転職。半導体など電子材料の開発・営業に従事する。在職中より、自らの技術力を活かした副業として海外のメーカーへ技術指導を開始し、週末起業家として5年間実績を積んだ。2010年3月に前職を退社。テクノ・インフォ・アシスト(有)を設立し、現在に至る。
 
 
 
中国や韓国、台湾など東アジア圏において製造業の技術が向上し、生産性が上がった。しかし、開発力と品質管理においては総体的にまだ日本が先行している。いっぽう日本では、技術者の能力レベルは高いものの、国内工場の稼動率低下により、能力が生かされない状況に陥りつつある。この問題に着目し、日本の技術者の活躍の場を広げるべく奮闘するのがテクノ・インフォ・アシスト有限会社だ。稲田幸輝社長にお話を聞いた。
 
 

日本の技術者の多くは不遇な環境にある

 
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インタビュアー 大門正明(俳優)
大門 テクノ・インフォ・アシスト有限会社にお邪魔して、稲田幸輝代表取締役にお話をうかがっています。まずは御社の業務内容からご説明いただけますでしょうか。
 
稲田 はい。一言で申しますと、「日本の技術を輸出する」 ということになるでしょうか。日本の技術者を、韓国や中国、台湾のメーカーに技術指導のために紹介する事業です。技術者の多くが現在、日本国内の企業に勤めている正社員の方々で、週末限定のアルバイトとして現地に出向き、技術指導をされています。当社は、現地の会社と日本の技術者の調整役です。
 
大門 現役の技術者を派遣しているとは、今までにない、非常に珍しいビジネスモデルですね。しかし、アルバイトをされる技術者の方がいらっしゃるというのも驚きです。
 
稲田 昨今の経営環境の悪化によるものか、副業を公認し推奨する日本の企業はたくさんあります。そもそも、日本の技術者は、例えキーマンであっても不遇な環境下にあるケースが多いのです。例えば、例の青色LEDの特許の問題についてもそうですよね。
 
大門 ああ、ありましたね。開発部の社員が苦心して研究した末に特許を取得して、その特許によって会社に莫大な利益が出ても、開発者への見返りはわずかな昇給などで終わってしまったという、あの問題ですね。
 
稲田 そうです。そのような形で泣きを見ている技術者はまだかなりの割合でいるはずです。多くの企業は、いわゆる管理職寄りの体制となっていますから。日本の技術者のレベルは世界的に見ても相当なものです。しかし、彼らがしかるべき待遇と評価を受けられているか。私は到底そうは言えないと思うのです。