既成概念を超える ニュータイプの建築家
クライアントもチームの一員!
企画・提案まで行う建築プロデューサー
秋川 ご実績を拝見すると、住宅から公共施設、古民家まで、実に多彩に手がけていらっしゃいます。山下社長は大きなチームを組んでプロジェクトに臨むことが多いと伺っていますが、独立されたときからそのスタイルですか。
山下 31歳で独立した当初は、もともと昔ながらの建築家のもとで修業していたこともあって、チームを組むという発想はありませんでしたね。意識が変わったのは35歳のときです。ある仕事でチームを組んだときに、自分ひとりだけでは絶対に到達できないグレードのものを作り上げられたんです。
秋川 それが、山下社長にとってのターニングポイントとなった。
山下 そうです。いわゆるコラボレーションでしたが、単純に人が集まっただけではダメなんですね。自立した個々が集まってチームを結成すれば、「1+1」 が2ではなく、それ以上のものになる。ですから、僕はクライアントも 「依頼者」 という肩書きでチームの一員になってもらいます。プロジェクトの規模にもよりますが、100人くらいのチームを作ることが多いですね。僕はその先導役として、チームを動かす役割を担います。
秋川 一般にクライアントは 「お客様」 で別格の存在なのに、珍しい体制ですね。
山下 その意味では、僕は特殊な建築家かもしれませんね(笑)。でもそうやってプロジェクトに取り組むと連帯感が出てきて、良い結果が生まれると確信しています。
あと、特殊と言えば、僕は基本的に依頼が来るのを待ちません。
秋川 依頼があってから動き出すのではないのですか?
山下 普通はそうでしょう。でも僕の場合、やりたい仕事がたくさんあるから、企画を出して 「これをやりませんか」 と提案して始まるケースがほとんどです。毎回新規事業に取り組んでいるようなものですよ。建築関係だけじゃなくて、多彩なジャンルの人とコラボレートしますので、いわばプロデュースとディレクションを同時に行っていると言えるかもしれません。