最強の自信って、何かご存じですか?
それは、「根拠のない自信」です。根拠のない自信は、もともと根拠がありませんから、失いようがありません。ですから、無敵の自信となるのです。
幼少期に親からたくさんの愛情を受けた人は、この根拠のない自信を持つことができます。親が子どもを思う愛情は、とても強いもの。その中でも特に条件付きでない愛情が大切です。例えば、勉強ができるから愛しているわけでない。単純に、子どもの“存在そのもの”を愛している。
そのように、無償の愛情を授かった子どもは自分の“存在に対する肯定感”を得られます。すなわち、根拠のない自信を持てるようになるのです。親やそれに代わる誰かからの愛情を一身に浴びて育った子どもは、その愛情を他人に与えられるようになるでしょう。
もし、大人からそんな愛情を受け取った記憶がない場合はどうすればいいか。
大丈夫です。自分自身が誰かの根拠のない自信の源になるように、信頼を伝えてあげてください。相手に伝える信頼と愛情は、相手を反射して自分に返ってくるのです。
そんな生き方をしている人、それが「ほめる達人」です。
今回も皆さんと一緒に、未来を切り拓いていく言葉を獲得するためのトレーニングをしていきます。私と一緒に考えながら、あなた自身の言葉を磨く助けにしてください。
自分の感情を俯瞰的に観察してみる
喜劇王と呼ばれたチャーリー・チャップリンの言葉に
人生はクローズアップでみると悲劇だが、ロングショットでは喜劇。
というものがあります。人生で起きる小さな出来事のそれぞれをクローズアップしてみると、悲劇的に感じることが多い。しかし、その出来事を俯瞰してみれば、喜劇のように感じられて、笑えてくることもある――という意味ですね。
実はこの言葉、自分の感情についても同じように解釈できます。例えば、自分がものすごく怒りを感じていたとしても、他人には、滑稽に見えているかもしれない。また、自分自身で怒りを感じている自分を客観視し、その状況を俯瞰してみると案外笑えてくるものなのです。
感情に翻弄されず、上手く付き合いたい方は、俯瞰的な視野に立って自分を観察することを繰り返してみてください。そのうちに、自分の感情のスイッチがどういう状況になると、どういう感情になるのかを把握できるようになります。
自分の感情とその変化に気付き、目盛りをつけられるようになると、もう一人の自分が自分を観察し始めますので、冷静な行動ができるようになるでしょう。感情のせいで、思ってもいなかった行動をしてしまうという失敗も防げるようになります。
身近な人の笑顔が世界を平和にする
少子高齢化や環境問題など、現代社会には様々な問題がありますよね。実は、そうした問題の解決は、自分の生きる半径3m以内の世界を大事にすることから始まります。まずは自分が笑顔でいること。そして、身近な人が笑顔でいられるようにする。自分の周囲の環境を整えることです。
ここで、第8回でもご紹介したマザーテレサの言葉を再度引用します。
あるとき彼女は、「私たちは世界平和のために何をすればいいでしょうか」という質問を受けて、「Go Home. Love your family.(家に帰り、家族を大切にしなさい)」と答えたそうです。
確かに、世界が平和でも家族との生活がうまくいってなければ、家には帰りたくないですよね(笑)。
サードプレイスを見つけよう
皆さんはサードプレイスという言葉をご存じだと思います。都市生活者には3つの“居場所”が必要だといわれていて、ファーストプレイスは“家”です。セカンドが“職場”。そして第3の場所がサードプレイスです。
サードプレイスは、趣味や学びの場です。自分がご機嫌になれるような居場所をつくれると、日ごろのストレスが解消できそうですよね。サードプレイスでの活動が充実していれば気持ちが前向きになって、家庭や職場環境の改善にも好影響がありそうです。
もしそういう居場所がないという方は、インターネットだけでなくリアルな世界で新しい何かに触れてみるといいと思います。触れてみたいものが思いつかない人は、ほめる達人協会の講演に参加してみることをおすすめします。きっとサードプレイスを見つけるヒントが得られますよ(笑)。
記憶をマネジメントする
いずれにしても、どのような行動をするにおいても大切なのは、最初から結果を出そうとしないことです。
例えば、仕事関係のパーティに出席することになったとします。そのときに、「●●さんと名刺交換しよう」「たくさん名刺を配って人脈をつくろう」などと、最初から結果を求めて出席すると、無駄にプレッシャーがかかりますし、緊張して余裕を持った行動ができなくなるかもしれません。
そうではなく軽い気持ちで、「とりあえず顔を出してみよう」という感覚で臨んだほうが、余裕があるのでいい結果が出ます。そして、行動すれば必ず、何らかの結果が出ますよね。たとえそれが上手くいかなかったとしても、「上手くいかなかった」という結果をプラスのこと、「よい経験」と変換して、記憶にしまえばいいのです。すると、失敗ですら「失敗という結果を得た成功体験」に変わります。今回は、あれができなかったけど、次はああいう対応をすればいいのだ――というように、失敗をプラスの気付きに変換するのです。
経験を“傷にする”のか、“気付きにする”のかは自分の考え方次第。体験したことを記憶としてどう保存するかにかかっています。
これを記憶のマネジメントと言います。人間に起きる出来事は平等です。起きる出来事を変えることはできません。しかし、体験したことをどう解釈して、どのような糧として自分の記憶に残すかは、マネジメントできます。その記憶のマネジメントが重要なのです。
ですから皆さん、いい意味で、懲りない人間になりましょう。失敗したこともプラスの記憶に変換して、肯定的勘違いにしてしまいましょう。
第11回 感情のコントロールと記憶のマネジメント
(2018.2.16)
著者プロフィール
西村 貴好 Nishimura Takayoshi
一般社団法人日本ほめる達人協会 理事長
経 歴
1968年生まれ。大阪府出身の「泣く子もほめる!」ほめる達人。ホテルを経営する家の三代目として生まれ、経営術を学びつつ育つ。関西大学法学部卒業後、大手不動産に入社して最年少トップセールスを樹立。その後、家業のホテルを継いで経験を積み、2005年に覆面調査会社「C’s」を創業する。短所ではなく長所を指摘することが調査対象の企業成長に効果があると発見し、「ほめる」ことの重要性に気付く。数々の実績を上げる中で、2010年2月に「ほめ達!」検定を実施する、一般社団法人日本ほめる達人協会を設立し、理事長に就任。以降、検定を通じて「ほめ達!」の伝播に尽力している。著書に『繁盛店の「ほめる」仕組み』(同文舘出版)、『ほめる生き方』(マガジンハウス)、『心をひらく「ほめグセ」の魔法』(経済界)、『泣く子もほめる!「ほめ達」の魔法』(経済界)、『人に好かれる話し方41』(三笠書房)などがある。
日本ほめる達人協会オフィシャルサイト
西村貴好オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/nishitaka217/
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