B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

トピックスTOPICS

ノウハウ ほめる達人、西村貴好の「ほめるは人のためならず」 第3回 マイナスをプラスに変換しよう! ほめる達人、西村貴好の「ほめるは人のためならず」 一般社団法人日本ほめる達人協会 理事長 西村貴好

ノウハウ
 
glay-s1top.jpg
「ほめ達!検定」は日本各地で行われている
皆さんこんにちは。日本ほめる達人協会理事長の西村貴好です。この連載では皆さんが毎日をイキイキと過ごせるように、私が「ほめる達人」、いわゆる「ほめ達!」への道を指南します。連載も今回で3回目。皆さんもこの連載を読んで、「お世辞ではなく、心の底から相手の良さを見いだし、あらゆるものから価値を発見できる人」になってください。
 
「ほめ達!」になると自分自身の心が変わります。ポジティブになるのです。ポジティブになると、他人との関係性も変わります。今回はおすすめのフレーズではなく、「ほめ達!」に近づくための思考法についてお話をします。
 
 

自分の考え方を変えてみる

 
例えば以前、こんな相談をされたことがあります。
 
――私の上司はとても嫌な人で、パワハラがすごいんです。こちらから挨拶をしても、にこりともしてくれないんですよ。人事異動がない会社なので、この先もずっとあの上司の下で働くことになるのかと思うと、とても憂鬱です・・・。どうしたらいいでしょう?
 
これはなかなか酷い上司ですね。そこで私は言いました。
 
挨拶に返事もしてくれない? そういう人は、もはや人とは言えないでしょう。お地蔵さんです。お地蔵さんって、何も喋らないですよね? 何かをしてくれるわけでもないです。道端でお地蔵さんを見かけたときに手を合わせる人って、具体的に何か望みをいいますか? 手を合わせることで、ご利益があればいいな。くらいの気持ちでしょう? そんな軽い気持ちで接すればいいんです。仮にそのお地蔵さんが喋ることがあったら、「これは珍しい!」と、楽しくならないですか。
 
そんなアドバイスをした後日、その人が「お地蔵さんだと思って接したら、気分が少し楽になった」と言ってくれました。これは自分自身の相手への受け止め方を変えた例ですね。
 
「ほめ達!」になることは自分の考え方を変えることです。ほめる行為は他者のためではなく、自分自身がポジティブな力を発揮するためにすること。ここが重要なポイントです。人は、自ら気付き自分を変えることはできても、人を変えることは容易にはできません。影響を与えることはできますけどね。だから、ほめることで最も得をするのは、自分自身なんです。他人をほめることで、自分の心が豊かになるんです。
 
 

マイナス面を見てしまうのは人間の本能

 
ということで、皆さんも「ほめ達!」になって、周りにいい影響を与えられる人になってください。そのためには前回も言ったように、まずは他者に関心を持って、観察することです。そして、それぞれの他者との違いに着目してみる。
 
人間は他人のプラス面とマイナス面のどちらに目が行きやすいかというと、必ずと言っていいほどマイナス面を見ます。他人の欠点など嫌なところばかり先に見つけてしまう。前回お話ししたように、私もそういう人間でした。これは人間の本能なんですね。だから仕方がないことで、必要なことでもあるんです。
 
例えば、マイナス要素ばかりを心配している経営者がいるとします。「あのプロジェクトはここに欠点があるから、手を出すのは危険だ」とか、「あのクライアントのサービスは~の点で不安が残る」とかね。でも、これは大事なことですよね? 何も考えずにそれらに手を出して、会社が損をしてしまったら大変でしょう? マイナスな面や不安要素を見つけることは、最悪の事態を予防することにつながる。人間にとって欠かせない能力でもあるんです。
 
 

マイナス面に新たな価値を与える!

 
とは言え、そこで思考が止まってしまってはダメです。「うちの社員は能力が低い」「うちの社員は一生懸命働こうとしない」「だからもっと厳しく鍛えよう!」そういう考え方もあると思います。でもそろそろ、自分の考え方を一歩先に進めてみませんか? 自分の意志で、思考法を進化させてみませんか? 
 
思考停止して社員のせいにしてしまっているのは、他ならぬこの、経営者の方です。この人は、社員の価値を見出せず、アラ探しだけをして終わってしまっていますよね。自社の資産や資源を最大化するために必要なのは、自らが観察し、社員たちが持つ、新たな価値を発見してあげること。そしてその長所の部分を発揮してもらい、伸ばしてもらうよう働きかけることではないでしょうか。
 
では、アラ探しだけで終わらずに新たな価値を見出すため、私たちはどう思考を変化させればよいのでしょう? それは、見出したマイナスをプラスに変換すればいいんです。相手のマイナスに見えることも、プラスの言葉に置き換えて評価してあげれば、その場を和ませたり、雰囲気をよくできたりする、人間関係の潤滑油的な存在になれます。それが「ほめ達!」であることなのです。
 
例えば、うつむき加減で気弱そうな人がいたとします。でもその人は、逆を言えば、「人の気持ちが見えすぎる優しい人」かもしれない。これがマイナスからプラスに変換する考え方です。この思考法、意識的に行えば必ず習慣として身につくものなんですよ。「そんなことはできない」と思わないでください。それは、できないのではなく、しようとしていないだけ。
 
物事や他人に、欠点や短所があることをまずは認める。そして、そのうえでプラスの要素に変換しようと試みる。これを意識的に繰り返すと、あらゆることに対して、ポジティブな考えが持てるようになります。マイナスのことを無意識にプラスに変換できるようになれば、あなたも「ほめ達!」です。
 
ほめる達人、西村貴好の「ほめるは人のためならず
第3回  マイナスをプラスに変換しよう!
 

 著者プロフィール  

西村 貴好 Nishimura Takayoshi

一般社団法人日本ほめる達人協会 理事長

 経 歴  

1968年生まれ。大阪府出身の「泣く子もほめる!」ほめる達人。ホテルを経営する家の3代目として生まれ、経営術を学びつつ育つ。関西大学法学部卒業後、大手不動産に入社して最年少トップセールスを樹立。その後、家業のホテルを継いで経験を積み、2005年に覆面調査会社「C’s」を創業する。短所ではなく長所を指摘することが調査対象の企業成長に効果があると発見し、「ほめる」ことの重要性に気付く。数々の実績を上げる中で、2010年2月に「ほめ達!」検定を実施する、一般社団法人日本ほめる達人協会を設立し、理事長に就任。以降、検定を通じて「ほめ達!」の伝播に尽力している。著書に『繁盛店の「ほめる」仕組み』(同文舘出版)、『ほめる生き方』(マガジンハウス)、『心をひらく「ほめグセ」の魔法』(経済界)、『泣く子もほめる!「ほめ達」の魔法』(経済界)、『人に好かれる話し方41』(三笠書房)などがある。

 日本ほめる達人協会オフィシャルサイト 

http://www.hometatsu.jp

 西村貴好オフィシャルブログ 

http://ameblo.jp/nishitaka217/

 フェイスブック 

https://www.facebook.com/hometatsu

 
 
(2016.12.16)
 
 

関連記事

最新トピックス記事

カテゴリ

バックナンバー

コラムニスト一覧

最新記事

話題の記事