今月からB-plusでコラムを連載させていただきます。
よろしくお願いします。
チームの調子はかなりいい。雰囲気もすごくいいよ。
ぼくもいい場面で投げられて、理想のアウトの取り方ができてる。肘も心配ない。
このコラムでは日本のプロ野球と違うところも紹介していきたいんだけど、
日本ではオープン戦から1週間から10日くらい空いてから公式戦に入るよね。
でも、こっちは2日ぐらい空けただけでそのまま始まるんだ。気持ちを切らずに本番に入っていけるから、すごくやりやすい。
あと、開幕のセレモニーは、メジャーならではだよね。
本拠地の開幕戦のセレモニーではチームのスタッフ全員を紹介するんだ。日本はスターティングメンバーだけだけど、こっちはトレーニングコーチとか洗濯係とか、裏方の人の名前もちゃんとコールする。すごいよな。
オリオールズの本拠地開幕戦は4日だった。
コールされたらセンターから一人ひとり内野まで走っていって挨拶するんだけど、
内野までの道にカーペットが敷かれてて、これがまたふわふわで足を取られるんだよ!
だから開幕にあたっての心境は・・・「こけないように!」かな(笑)。
それで、ぼくの個人的な楽しみは、国歌斉唱のとき。
戦闘機が飛んできて、球場の上をギューンと通過するんだよ。四機かな。あれは経験したほうがいいよ。何でかわからんけど、涙が出たもんな。
もし、ぼくが何かメッセージを言わせてもらえるとしたら・・・ 一人で苦しまないでほしい。
しんどいかもしれんけど、笑顔を見せて立ち直ってほしいです。
社会人ルーキーにぼくができるアドバイスは、
向こうから来てもらえるのを待ってたってダメだよ。そんな甘いもんじゃない。積極的に自分から行かないと。
特に新人なんて右も左もわからないのに、机に座ってるだけじゃ何もできないと思うからね。
まあ、離れられないよね。引退する瞬間まで、常に頭の片隅に野球があると思う。せいぜい、ユニフォームを着てないのがリラックスかな(笑)。
ただ言えるのは、無理なことはしないこと。無理に離れなくていい。自然体が一番です。
162連勝するチームはないんだから負けもあるけど、勝つ喜びをここでわかっていけば、上に行けると思う。
そのために自分ができることは、1年間、1軍でしっかり働くこと。
今のいい状況が悪くなったときにどう乗り越えるかは、ぼくもプロで10何年やってるから大丈夫。苦しいときに、逃げるんじゃなくって克服する術は、持ってる自信がある。そこは経験だよね。
自分を信じてやっていきます。応援してください。
執筆者プロフィール
上原浩治 Koji Uehara
ボルチモア・オリオールズ投手
経 歴
大阪府出身(出生は鹿児島県)。東海大学付属仰星高校から大阪体育大学に進学し、大学3年時に日本代表に選出。1997年に出場したインターコンチネンタルカップ決勝では、当時国際大会151連勝中だったキューバから先発勝利をあげ、注目された。ドラフトで読売ジャイアンツに1位指名(逆指名)を受け、1999年に入団。ルーキーイヤーに20勝投手となり、最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の4冠を獲得し、新人王と沢村賞も受賞。翌2000年は肉離れのため登録抹消となるなど、ケガに苦しむシーズンを送るも、2002年に再び17勝をあげ、優秀選手賞を受賞。2004年にはアテネオリンピック野球日本代表に選出され、銅メダル獲得に貢献。2006年のワールド・ベースボール・クラシックでも日本代表のエースとしてチームを優勝に導いた。2009年にボルチモア・オリオールズに入団。ベテラン投手の一人としてチームを牽引している。