ピックアップ方式の普及が
アメリカで急速に進んでいる
ピックアップ式の買い方がどういうものかというと、要は従来の小売店にあった3つの問題を解決するものだ。その3つとは
1.広い店で目当ての商品を探すのが面倒
2.在庫が有るのかないのかわからない
3.なければ注文して再来店しなきゃならない
という問題だ。ピックアップ方式はこれらの問題を一挙に解決する。ポイントは「オンラインとオフラインの融合」だ。オンラインでつながることでお客さんは予めネットで注文できる。商品が揃うと店からメールが届く。後はお店に取りに行くだけ(Pick Up)だ。
少し前から始まっていたトレンドだけど、今回ほど現場が本格的に変わったと感じたことは今までなかった。だってWalmartなんか、普通のレジが全体の3分の1まで減らされていたからね。3分の1だよ!? 代わりにピックアップ専用のレジが3分の1を占め、スキャン&GOとセルフのレジも3分の1に増えていた。店は内だけじゃなく外も変えて、ピックアップで買うお客さん専用の駐車場を入り口付近に新たに設けていた。
究極がURBAN necessitiesだ。靴の転売ショップで、本社があるニューヨーク店とラスベガス店の2店舗しか展開していない。この店の何がすごいって、レアスニーカーという超マニアックなジャンルを扱うのもすごいんだけど、店頭表示が一切ないの。代わりに現品に付いているタグからQRコードかバーコードをスマホで読み取ると、その靴のモデル、型式、色、製造年度、未使用品か中古か、どっちの店にどのサイズの在庫が何足あるかが出る。ニューヨーク店にあるものが探している条件に適うならスマホで注文して決済すれば自宅に送ってくれる。ラスベガスのその店で今手にとっているその現物が欲しければ、その場で買って持ち帰ることもできるし、自宅配送も選べる。
ビジネスの成り立たせ方と
資金のつくり方が全然違う
骨董業者が一部の好事家相手にこれをやるのならわかる。好みを聞いておいて出物があれば「旦那さん、見つかりましたよ」で利益をがっぽり乗せて商売成立だ。でも普通は、日本の一般向けの小売りは、例えば靴ならせめて50足ロットがないとそのアイテムに手を出さない。いや、出せない。手間を含めた扱いコストが儲けと見合わないからだ。
でもアメリカは、テクノロジーによって扱いコストを徹底的に省くことで、結果的に費用を抑えて一般の人でも一点物のレアアイテムの世界を楽しめるようにする。それによって新しいビジネスを成立させる。コストを費用でしか考えられない日本とは発想の仕方が根本的に違う。
違うのは資金のつくり方もそうだ。アメリカには銀行とは別に「エンジェル」と呼ばれる投資家がいて、有望と見込んだ企業や個人に積極的に投資を申し出る。上場する前から他人のお金でビジネスを始められるわけだ。かたや日本は、最初は担保を差し出して銀行を説得して自分で資金を引っ張ってくるしかない。それじゃよっぽどでないと新しいビジネスは現れないよね。
日本こそ「拝金主義」
お金は手段か、命の糧か
日本の場合、お金はもともとは米だった。米は食糧だ。生きるための食べ物だ。だから日本人は500円玉をこうやって眺めながら、心のどこかで無意識に、これがそのまま命の糧だと感じているのかもしれない。だからお金を大事に扱うし――紙幣を「お札」と「お」を付けて呼ぶのもそれだ――、小銭がポケットにじゃらじゃらでも気にならない。むしろ現金の重みを感じて嬉しい。クレジットカードが欧米ほど一般的にならないのもそれが理由だ。
そう考えると、日本のほうがよっぽど「拝金主義」かもしれないよ。お金の現物を崇拝するという意味でね。
「うっかり払い忘れ」から
目当ての結果を得た話
で、謝りに行ったんだけど、どうせだからと思って駄目元でもう一回、店を閉めたい話を蒸し返したらしい。そしたら向こうは「わかりました」ってあっさり受け入れて、契約打ち切りになったんだって。「それまでは何だったんだ、キツネにつままれたみたいだ、って話してましたよ」と、私の知り合いのその社長も不思議そうだった。
私が思うに、これ、結果的に欧米流の「お金を手段として使う」やり方になってたんじゃないかな。
日本人はお金を大事にする。だからその延長で「お金に顔向けできないようなことはしちゃいけない」と考える。払うべきものは払ってから交渉しようとする。
でも欧米の感覚では、お金は「手段」だ。契約を続けたくないならその意思を示す手段として「払わない」という行動に出ることもある。相手もそれがわかっているから、日本みたいに「踏み倒しだ!」と一方的に責めて扉を閉ざすようなことはせず、むしろ強く交渉したがっているサインと受け取って早めに話し合いの場を設けようとする。結果、日本みたいに陰湿なこじれに発展する前の段階で結論が出て、お互い次に進むことができる。
・・・お金というものを客観的に見る感覚を、これからの日本人は身につけるべきかもしれないね。世界を相手にビジネスをするうえではね。
■10月16日とやま勝人塾IN黒部
事務局/フォトサロンドン
https://www.facebook.com/events/2576234145754919/
■10月23日とちぎ勝人塾IN宇都宮
事務局/日本販売促進研究所
https://www.facebook.com/events/2306599006132816/
■10月28日わかやま勝人塾IN紀伊田辺
事務局/藤原農機
■11月2日中国輸出入交易会視察セミナーIN広州
事務局/日本販売促進研究所
https://www.facebook.com/events/2407581989561429/
■11月6日PIO勝人塾IN郡上大和
事務局/郡上商業開発
SOLD OUT
■11月8日おおさか勝人塾IN大阪
事務局/経営コンサルティングアソシエーション
https://www.facebook.com/events/708302099623170/
■11月11日・12日おかざき勝人塾IN岡崎
事務局/岡崎商工会議所
SOLD OUT
■11月13日にいがた勝人塾IN巻
事務局/おぐま式POP塾
■11月15日とうほく勝人塾IN八戸
事務局/やまはる
https://www.facebook.com/events/569733463843677/
■11月18日とちぎ勝人塾IN宇都宮
事務局/日本販売促進研究所
https://www.facebook.com/events/894053534296287/
■11月20日〜26日アメリカ西海岸商業視察セミナー
事務局/日本販売促進研究所
https://www.facebook.com/events/2367147526885353/
第17回「ニコニコチャンネル ニッポン勝人塾」(10/21 15:00 – 16:00)の告知
■佐藤勝人講演・セミナー依頼
個別支援等々のお問合せは
https://jspl.co.jp/contact/
vol.36 アメリカに新しいビジネスが現れやすい理由
著者プロフィール
佐藤 勝人 Katsuhito Sato
サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長
経 歴
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
オフィシャルサイト
オフィシャルフェイスブック
https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts
サトーカメラオフィシャルサイト
YouTube公式チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCIQ9ZqkdLveVDy9I91cDSZA (サトーカメラch)
https://www.youtube.com/channel/UC4IpsvZJ6UlNcTRHPgjellw (佐藤勝人)