リクルートの若手有志が集う「寺子屋塾」
数えるともう4、5年になるかなあ。最初は通年カリキュラムの初めのほうの枠で話したからもうひとつ参加者の反応が鈍くて、「??」という顔が多かったけど、いまは最後の枠で話させてもらえるから、それまでの講師の先生方の話でみんな成長していて「そうか! なるほど!」という顔で聞いてくれます。
このセミナー、楽しいんですよ。優秀な人たちの集まりだから。講師陣もすごい方ばっかり。発起人が株式会社リクルートマーケティングパートナーズの社長をされていた方で、みんなその人の人徳で引っ張ってくるんです。だからほぼボランティア。でも、おもろしいから行くんだよね。若手の成長に関われるのは単純に嬉しいしね。
今年はそれが2月の14日にあって、参加者はどうしたら私のような思考になれるかということを一番聞きたがった。というのは、商売で講師をされているような先生方はきれいな話を理路整然とするだけなんだよね。だから聞くほうは「自分には無理」と感じてしまい、そこで止まってしまう。それに比べて私は、「偉そうなこと言ったって、自分が話してることができてないんだから、その先生方だって」というような話を平気でする。だから彼らも、「自分もこの人みたいになれるかも!」と思うことができ、私の話を自分事として聞くわけだ。
“このバカ死んじまえ!”からの、“全部俺が悪いです”
そうすると彼らの本音も出てくる。「部下が使えない奴でムカつく」とか、「辞めちまえ!って言いたくなる」とか、会社では絶対言えない話、言わない話を。私は、「だろ? そう思っていいんだよ。俺だって53歳になってもまだ心ん中では「このバカ死んじまえ!」とつい思っちゃうことあるから」と受けとめてあげる。「感謝の精神を忘れていませんか?」みたいなことは言わない。だって、感謝や奉仕を教えているセンセイだって、感謝なんてできちゃいないもん。だからそんなことはどうでもいい。大事なのはその先だ。
私は23歳で家業の業態を変えて兄とサトーカメラを始めた当初から、上司がいなかった。仕事の悩みを打ち明けられる相手が欲しかったけど、当時の私には尊敬できる大人は通っていた道場の少林寺拳法の先生しかいなかった。先生に仕事の相談なんかできる立場じゃないし、だから20代の頃は、私は仕事の相談は誰にもしたことがない。
ただ、先生は私のこの、斜め後ろの頭の上というか、要は私を見張って戒めてくれるところにいつも存在していた。道場でいっつも怒られていたわけだよ。私が何か口応えすると「お前が悪いんだ!」って。そうすると、店が大きくなって部下が多くなってムカつくことが増えても、そのたびに意識としての先生が出てきて言うの。「お前が悪いんだ! お前の問題なんだ、甘えるな!」って。だから、いっぺんは「このバカ死んじまえ!」と思うんだけど、「違います、違います、俺が悪いです、全部俺の問題です」とすぐ思い直すようになった。理屈抜きでそうしてきた。20代はずっとそうだった。もしいま私が他人から見て「逃げない人」とか「卑怯な言い逃れをしない人」とか思われているとしたら、この先生のおかげだと思う。
部下の教育の仕方が基本から違う
だから、他人に仕事の相談はしたことなんかなかった。とにかく全部自分で考えて自分で決めて自分で対処してきた。部下の教育の仕方についてもそうだ。全部自分で考えてきた。リクルートの寺子屋塾でも教育について聞かれたけど、基本の発想から間違っている人が結構多くて驚きます。
私の場合はこうだ。まず、部下に何をやらせるか。私なら、私自身が得意なことをやらせます。当然、見ていてイライラします。自分が得意なことだから。彼らが全然できないから。でも、見て見ぬふりでやらせる。その間に、自分は他の、自分がまだできないことに取り組みます。不得手なことだからうまくできなくてイライラします。自分が不甲斐なくなります。それでもなんとか頑張ってできるようになっていくと、2つの効果が出てきます。
1つめ。できなくて困っている部下の気持ちがわかる。彼らを無能だと決めつけなくなる。2つめ。もともと自分が得意なことだから、できなくて困っている部下が相談してきたときに指導できる。部下からも尊敬される。
意外に世間のみんながやってしまっているのがこの逆です。つまり、自分が不得手な仕事を代わりに部下にやらせる。そして自分は自分が得意な仕事だけをやっている。そうすると、感謝の精神は身に着きます。自分ができないことを代わりにやってくれる存在はありがたいから。
だけど、それじゃあ、今度は指導ができなくなるんだよ。マネジメントはできても指示指導することができなくなる。部下も、上司がいつまでたってもその仕事ができるようにならないから、困ったときに相談相手がいない。助けてもらえないから上司に対する尊敬も生まれない。これでうまくいくはずがないよね。
「無知の知」という思考法
こう考えてくると、本当に優秀な人って、どういう人のことなんだろう。どれができる、これができない、という尺度じゃとらえられない気がするよね。自分だって、できないこと知らないことがたくさんあるじゃない。むしろ知らないことのほうが何十倍も多いでしょう。しかも、「マジ使えねえムカつく」と思っていた相手がそのうちの1つの事柄についてメチャ詳しいこともありえるわけで、誰だってそんなもんなんだよ。
そうすると、優秀であることの条件は、やっぱり「無知の知」じゃないかな。「自分がいかに知らないかを知る」という、あの思考法をわかっていることじゃないかな。
私も若い頃はカメラメーカーの偉い方々の話がわからなかったよ。「なるほど!」と思うんだけど、「たぶん俺本当はわかってないんだろうな」という気がいつもしてた。本当にわかるのは相手の歳にならないと無理だろうと思ってた。でも、話は一所懸命に聞いた。少なくとも、わからないから自分に関わりがない話だと割り切ったりせず、自分事として聞いていた。だからこそ、社会人10年生の頃の自分より35年生のいまのほうが成長したと胸を張って言えるんだ。
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e-mail:t-katsuhitojuku@business-plus.net
vol.17 本当に優秀な人は何をわかっているか
著者プロフィール
佐藤 勝人 Katsuhito Sato
サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長
経 歴
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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