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ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.8 中国の若々しさに当てられて考えた 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 商業経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役副社長

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皆さんこんにちは。佐藤勝人です。「繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート」、前回はニューヨーク視察に行って自分の原点を噛みしめたという話をしました。今回は、5月末から行ってきた中国の話をしようと思います。
 
 

成長が続く中国と、成熟がむしばむ日本

 
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上海の自転車ライドシェア。アプリで乗れて超便利!
今回行ったのは上海と北京。1週間行ってきました。上海で気付いたことなんだけど、自転車に乗っている人がやたら多かったんだよ。それも、色や形からするとせいぜい3つか4つしか車種がなくて、みんな同じ自転車。「何々、どういうこと?」と思ったら、あれだ。シェアサービスなんだね。
 
自転車のシェアサービスって、ご存じの方には今更だけど、スマホにアプリを入れておいて、街中の指定の置き場で空いている自転車があればQRコードをピッと読み取ってロックを解除して乗れて、同じく指定の置き場であればどこで乗り捨ててもいいっていう、レンタサイクルを進化させたようなサービスです。3年前にニューヨークで初めて見て、日本はいつ始めるかと思っていたら中国が先にさっさと始めちゃった。と思ったら、来月にはもう日本に上陸してくるらしい。まったく、中国はやることが早いよね。マジ感心するよ。
 
で、なぜ日本にはこのスピード感がないのかと考えて、「そうか、人間と同じだな」と思った。人間、若い頃は、やりたいことは議論するより先にやるでしょう。細かい失敗は目をつぶってとにかくやって、後のことはやりながら考えるでしょう。中国という国もそうなんです。学者はいろんな指標やデータから「成長がピークを越えた」と言ってるが、私の肌感覚では全然そんなことはない。中国はやっぱりまだ成長期なんです。
 
いっぽうの日本を人間にたとえれば、年を取って何事も変化を好まなくなった老人みたいだ。これはあながち比喩じゃなくて、実際にどの業界も凝り固まった爺さん連中が川上を牛耳っていて、意気のいい若い連中の芽がつぶされている。例えばライドシェアのような新しいシステムを入れようとしたら、旅客輸送系の既存企業と業界団体が一緒になってつぶしにくる。表向きは「事故が起きたときの責任主体が曖昧」とか「管轄法が未整備」とかもっともらしいことを言っているが、なんのことはない、自分たちの商売を脅かされたくないのよ。それも、脅かされるのが怖いっていうより、単に“今のままでいいじゃないか、なんで変えるんだ”っていう心理だからなおさらタチが悪い。具体的にどこに手を打てば引き下がるっていうのがないからね。年をとって成熟すれば人間みんなそうなるのかしらんけど、そういう「成熟」ならこっちから願い下げだ。自分たちは政治家や役人とつるんで旨い汁を吸ってるうちにお迎えが来るからいいだろうけど、これからの社会のことも考えろっての!
 
 

産業界全体で新旧の入れ替えを

 
だって、日本はこのままだとジリ貧だよ。IoTだAIだシェアリングだって言って世界中がオールド・エコノミーから脱しようとしているときに、日本だけ変わらないでいたらどうなる? 先日も大手スポーツ用品メーカーに講演で行ってきたが、年寄り連中は新しいシューズの機能がどうとか素材の品質がどうとか、相変わらずそっちばっかり考えている。本当はスポーツ関連こそ、例えばIoTでウェアラブル端末とスマホアプリを連携させるとか、そこからネット上のコミュニティに誘導するとか、半分サービス産業に脱皮していかなきゃいけないのに・・・。
 
これは自分の体験からもわかるんです。私は25年もジムに通っていますが、サボってしまったり忙しかったりで、定期的にトレーニングを続けることができなかった。それを今年からは、ライザップのようなパーソナルトレーニングに切り替えて、トレーナーについてもらって1回あたり30分、集中してみっちりやるようにした。このトレーナーの料金が1回2700円。そう話すとみんな、「佐藤さん、もったいないよ。1人でできるでしょ」と言うけど、いやいや、1人じゃできないんだって(笑)。確かにトレーナーは「頑張ってください」ぐらいしか言わないし、器具の使い方や正しい姿勢は1回教われば次から自分でわかるよ。でも、1人だとどうしても怠けちゃう。「はいOK!」とか「次のメニュー!」とか言ってくれる人が横にいるから、飽きずに頑張れるんだ。
 
走るのが趣味の人たちも同じでしょう。走行距離やタイムや消費カロリーを端末で出して、アプリで連携して競い合って、コミュニティでワイワイやるから楽しいんだ。ウェアにしても、布地が機能性だなんてことはもはや当たり前で、デザインで差が付く時代なんだ。だったらメーカーもそっちで勝負しなきゃ!
 
機能の追求は従来通り続ければいい。シューズのクッションがいいのは素晴らしいことだ。でも、ビジネスの勝負はもう違うフィールドに行っているんだ。だったら、若手のほうが新しいフィールドで勝負する気力も体力もあるんだから、彼らをもっと活躍させてあげなきゃ! 体制も新旧の入れ替えを進めなきゃ! これはスポーツ関連だけじゃなく、日本の産業界全体に言えることだと思いますよ。
 
 

私たち中小企業は発展途上だから強いんだ!

 
あとは、やっぱり外を攻めること。観光みたいな「待ち」のビジネスはそれなりでいいから、海外に打って出よう。そのときは製造業より商業が有望だ。向かうべきは中国、そしてアジアだ。アメリカはいぜんとして新ビジネスの実験場ではあるけど、中国人は国内だけで13億人、国外も含めればもっといる。日本の小売・サービス事業者や商社と組んで日本式のビジネスモデルを取り入れたいと思っている華僑はアジア全域にいますよ。しかも、成長期の中国では、成果をあげたビジネスから先に信用されます。信用されないと始められないのが日本なら、やって見せないと信用されないのが中国だ。だからどんどん打って出るべきだ。
 
その先駆けがユニクロだ。日本は格差社会じゃないから普通の人も勉強して努力すれば上に行ける。実際に地方の小企業から成り上がった経営者がいっぱいいる。柳井さんだって最初は地方の小企業の社長ですよ。それがどうしてあそこまで大きくなれたかというと、本来日本の中小企業というのは、社長が企画から財務から宣伝から何から全部できるんだよね。大企業は組織体制が欧米型になってしまったから今は専門バカの社長が多いけど、中小企業の社長は基本、今でもゼネラリストなんだ。
 
それというのも、教育格差がないせいで――これからは怪しいけど――「努力すれば大抵のことはできるようになる」というメンタリティが基本にあるから、まともな社長なら一通りのことは勉強して身につけようとするんだよね。そうすると、超大手にはなれなくても、個人零細から中小に成り上がる企業が少なくない。中小企業の厚みがすごいのが日本の産業界の強みだ。
 
何を隠そう、我がサトーカメラも、栃木の零細からスタートして、それが中国に進出して、今やアジア各地でカメラ・写真販売業界に革命を起こそうとしている。自分たちの実例から考えても、日本は中小企業こそ期待できるんじゃないかな。まだまだ、私たちもこんなもんじゃ終わらないよ! ヨロシク!

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繫盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.8 中国の若々しさに当てられて考えた

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長

 経 歴  

栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。

 オフィシャルサイト 

https://jspl.co.jp/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 YouTube公式チャンネル 

https://www.youtube.com/channel/UCIQ9ZqkdLveVDy9I91cDSZA (サトーカメラch)

https://www.youtube.com/channel/UC4IpsvZJ6UlNcTRHPgjellw (佐藤勝人)

 
 
(2017.6.21)
 

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