■決算書で異常値がある会社
例えば、本業での儲けを表す営業利益や経常利益では黒字になっているのに、特別損失として大幅なマイナスを計上し、結果的に赤字又はわずかな黒字として決算を組んでいると、税務署から怪しいのではないかと疑われることがあります。他にも、固定資産の売却損や除却損が多額に計上されて、最終的に支払うべき税金が減少している場合にも、その決算が正しいのかどうかという点で疑われることがあります。
また、当年度だけでなく、決算書を2期又は3期並べて比較したときに、昨年又は通年と比べて、「交際費が多い」 や 「原価が高騰している」 などがあれば、経費が多額に計上され過ぎているのではないかと怪しまれることがあります。
更には、同業他社と比較して、「地代家賃や人件費は妥当か」 などという視点でも、税務署は適切な決算かどうかを見ています。
大事なのは、決算書で異常値が発生した場合には、税務署に対して、できるだけそれらを事前に説明しておくことです。例えば、特別損失項目に多額の損失が計上されているのであれば、決算書に付随する 「決算内訳書」 においてその詳細を記入したり、科目もできるだけ分けて 「役員退職金」 や 「和解金」、「固定資産売却損」 などとしておくのが良いでしょう。また、過去との比較で異常値があったり、同業他社と比べて異常値だと思われるものがある場合には、決算申告時に提出する 「法人事業概況説明書」 の 「当期の営業成績の概要」 という欄に、それらの理由などを記入しておくと良いでしょう。
■決算書の経営分析項目で異常値がある会社
昨年に比べて売上は増加しているのにそれ以上に仕入が増加していて、結果的に会社の売上総利益(いわゆる粗利益) が減少しているような場合は、売上総利益率の低下ということで異常値が検出されます。当然、仕入単価の高騰や付加価値商品の導入などで本当に原価が高騰してしまっているというケースが大半でしょうから、結果的にきちんと説明できれば最終的には全く問題ありません。
■事前に準備しておく
時間が経つと、そのとき当たり前に理解していたことでも、結構いろいろと忘れてしまう例は意外に多いものです。異常値がある決算書を税務署に提出するときは、その時点でその内容を整理しその説明をきちんとできるよう書類を準備しておきましょう。特に、それが 「同族会社間で発生したものである場合」 や、「固定資産除却損などこの時点で説明資料(写真など)を準備しておかないといけない場合」 などは要注意です。
執筆者プロフィール
今村仁 Imamura Hitoshi
マネーコンシェルジュ税理士法人 代表社員
経 歴
京都府京都市出身。立命館大学経営学部企業会計コース卒 会計事務所を2社経験後、ソニー株式会社に勤務。その後2003年今村仁税理士事務所開業、2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。税理士・宅地建物取引主任者・CFP等ベンチャー・起業家・中小企業の参謀役税理士(SZ)として、会社設立から株式公開支援まで幅広くサポート。大阪・京都・神戸・滋賀・奈良・東京・横浜を中心に活動。マネーコンシェルジュ税理士法人(旧今村仁税理士事務所)
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