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総武線・大江戸線東中野駅、東西線落合駅から徒歩5分の場所にある健康と美肌の湯、健康浴泉は、2020年12月末に行われた全面改装により、再スタートしました。落ち着いた木目調の浴室には、高濃度炭酸泉、シルキーバス、ジェットバス、電気風呂、水風呂と、豊富な種類の風呂を設置し、水は軟水を使用しています。また、洗い場のシャワーにはすべて手持ちのシャワーを導入。男湯では高温のドライサウナ、女湯では肌に優しいコンフォートサウナが楽しめます。藤田進さんが3代目を担うまでの経緯や、その思いに迫りました。
 
 

銭湯を通じて皆に健康になってもらいたい

 
地域の人からも人気な健康浴泉
地域の人からも人気の健康浴泉
――健康浴泉さんのロビーはお客さん用のWi-Fiが完備され、奥には漫画も並んでいて、思わずくつろぎたくなってしまいます。3代目店主の藤田さんは、銭湯家系のお生まれなんですか?
 
藤田 はい、親戚一家のほとんどが東京で銭湯を経営しているという特殊な環境で育ちました。私が生まれたときに練馬で銭湯を営んでいた父は、1979年にここの銭湯の2代目となり健康浴泉としてスタートさせ、私が3代目を受け継いだ形です。
 
――お父様の仕事する姿を幼い頃から見てこられたんですね。
 
藤田 小さい頃から休みなく夜遅くまで働く父の姿を見て、大変だなぁと思いながら過ごして来ました。ただ、私が長男ということもあって、いずれ受け継ぐことも意識はしていましたね。大学卒業後に10年ほど会社員を経験した後に、手伝う形で健康浴泉の運営に携わるようになりました。
 
――最初は手伝いからのスタートだったんですか!
 
藤田 その傍ら、長年やっていたスポーツの経験を生かしてマッサージケアの仕事を行っていた時期もありました。柔道整復師の国家資格を取得した後は整骨院の仕事に就き、そこで患者さんと接するうちに「体を楽にして健康になりたい」という思いの方が大勢いらっしゃることを実感しまして。ただ長生きするのではなく、“健康で長生き”することが幸せにつながるのだと強く感じました。
 
――以前、健康浴泉さんでは「整体スタジオU」という整体院も併設されていたとか?
 
和テイストに一新された館内
和テイストに一新された館内
藤田 はい。2018年に開業し、同時に銭湯の運営も携わっていましたが、同時進行はなかなか難しかったです。2020年に3代目を受け継ぐのと同時期に銭湯をリニューアルしたことで、銭湯業のほうが多忙になり、やはり銭湯業に専念しなければならないと、完全に銭湯業にシフトしたんです。整体院は数多くありますが、銭湯は限られた数しかありません。だったら銭湯を通じて皆さんに健康になっていただこうと思ったんです。
 
――まさに健康浴泉さんの屋号にぴったりのコンセプトですね! 
 
 

派手な銭湯から、和テイストで落ち着いた雰囲気に一新

 
――リニューアルに踏み出したきっかけはなんだったのでしょう。
 
銭湯では珍しい手持ちシャワーで統一!
銭湯では珍しい手持ちシャワーで統一!
藤田 施設の老朽化がきっかけです。どうせやるならと、全面改装しました。改装前は、父の趣味で派手な趣だったんですよ(笑)。父が昔交流のあった赤塚不二夫さんのサイン色紙を飾るなど以前の面影も残しつつ、和テイストで落ち着いた雰囲気に一新しました。タイルは安全な滑りにくい素材にし、浴槽やシャワーの水には美肌の効果の高い軟水を導入しまして。洗い場にはすべて手持ちのホースシャワーも取り入れ、こちらも好評です。また、特にこだわったのはお風呂ですね。高濃度炭酸泉をメインにしたかったので、一番大きな浴槽に入れています。女湯では、遊び心で炭酸泉の中に電気風呂を組み合わせるという珍しい試みにも挑戦しました。
 
――大胆に改装されたのですね! サウナのこだわりも教えてください。
 
藤田 男湯には高温が人気のドライサウナ、女湯には湿度が高くお肌に優しいコンフォートサウナを設置し、熱を逃がさないタイルを使用しているのも特徴です。男湯の脱衣所の2階には休憩場があり、椅子だけでなく畳のスペースもあるので、ぜひ気持ちよく寝転がってもらいたいですね(笑)。
 
――浴室も男女で雰囲気が異なるのも印象的です。
 
藤田 男湯は窓際のため日差しが良く入ります。なので夕方に入浴していただくと、陽が当たってものすごく気持ちがいいんですよ。一方、女湯には窓がなく一見薄暗いのですが、夜はムーディな雰囲気が漂い、各風呂に当てたスポットライトも相まってそちらもいい感じなんです。おかげさまで、男女共にお客様が増えていることを実感していますね。
 
サウナには保温効果の高いタイルを使用
サウナは保温効果の高いタイルを使用
憩いのひと時が過ごせそうな湯船
憩いのひと時が過ごせそうな湯船
 
 

一つとして同じ銭湯はない、自分好みの銭湯に

 
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男湯・脱衣所2階の休憩スペース
――雰囲気が変わったことで、常連の方の中には受け入れにくいという方もいらっしゃったのでは?
 
藤田 もちろんそういう声をいただくこともあります。リニューアルでは多くの方が入りやすいよう前よりぬるめの温度にした浴槽もありますが、もっと熱いほうが好きという方も中にはいます。また、私は照明が明るいのが好きなのでそのように設定しているものの、それが苦手という方も中にはいるでしょう。ただ、私は自分好みの銭湯にすることも大切にしていまして。銭湯のおもしろいところは、それぞれの個性があるところ。富士山が見たくなったら、富士山の絵が描かれた銭湯に行くのもいいですし、暗いところが好きなら照明の落ち着いた銭湯に足を運ぶのもまた、お客様の自由だと思います。いろんな銭湯を巡ってみて、その中で自分好みな銭湯を見つけてみるのもよし、その日の気分にあった銭湯に行き先を変えてみるのもまたよしです。一つとして同じ銭湯はないので、ぜひそれぞれの魅力を味わっていただきたいですね。
 
――自分好みに徹しているこだわりにポリシーを感じます。銭湯経営では、どんなところにやりがいを感じますか?
 
藤田 お客様が来て、気分良く元気な顔で帰ってくださると、少しでも健康の役に立てたかなと思えることですね。なので、日頃から丁寧な接客で皆さんを温かく迎えることを心がけています。サウナブームで来てくださる方も最近は増えていますが、やはり銭湯は近所の常連さんが来てくださることで成り立つ商売でもありますので、近所の常連さんは変わらず大切にしているんです。現在は家族だけで運営しているので、先代が番頭に立つ時間を楽しみに会いに来る方もおられますよ。
 
――最後に、今後の目標もお聞かせください。
 
藤田 10年、20年後もここで元気にやれていたら嬉しいですね。銭湯の浴槽掃除など大変なこともありますが、営業の際は、湯を沸かして店を開けてお客様が来るのを待つだけです(笑)。今はすべてが経験だと無我夢中で取り組んでおり、まだ店が完成したとは思っていません。今後もあまり派手なことはできずとも、皆さんに通っていただける魅力を保っていけたらと思います。
 
――銭湯を通じて人々に健康になってほしいと願う藤田さんの思いはお客さんにも通じていると思います。信念を持ってひたむきに日々邁進しているからこそ、地元の人からも愛され続けているのだろうと思いました。今後も健康浴泉さん独自の個性を貫いてください!
 
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3代目店主 藤田進さん
 
 
(取材:2022年5月)
 
 
健康浴泉
■住所 
〒164-0003  東京都中野区東中野3-17-3
■アクセス
総武線「東中野」駅より徒歩5分
東京メトロ東西線「落合」駅より徒歩5分
■営業時間:15:00〜24:30
最終入場24:00
休業日:水曜
■URL: http://kenkouyokusen.tokyo/
 
復活する銭湯
vol.7 和テイストで落ち着く空間 健康と美肌の湯 健康浴泉
(2022.6.22)
 

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