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走れ事務いす、オフィスの外を!
会社勤め・・・特に内勤のビジネスマンは、多くの時間を共に過ごしているであろう、オフィスのパートナー・事務いす。メーカーや種類によってデザインや仕様に差はあれど、長時間の激務によるダメージから腰を優しくガードしてくれるクッション性に長けた座面、疲れた時に背後からサポートしてくれる背もたれ、そして旋回や移動に便利なキャスターは事務いすのデフォルトですよね! しかし、せっかくキャスターが付いていても、移動範囲はせいぜい数十センチ。たまに無精と遊び心から、コピー機まで勢いよくいすを滑らせようものなら部署全体から冷ややかな視線を浴びるはめに・・・。そんな、キャスターの価値を活かしきれず、事務いすをくすぶらせている全国のビジネスマンは、今話題の「いす-1GP」をご存じでしょうか?
「いす-1GP」とは、2010年に京都府京田辺市のキララ商店街で商店街の活性化を図るために始まった、2時間の間に事務いすを使ってコースを何周走れるかを競う耐久レース。そのユニークな企画が注目され、今やその波は全国に。北は北海道から山形や秋田、岡山、広島、四国の徳島、さらに九州は長崎まで、年間10~12レースが開催される程、ホットなイベントになっているのです。1大会につき、出場者は平均して約30チームもあり、聖地・京都ともなると約60チームにもなるのだとか。いすのメーカーから警察署や消防署、市役所といった公務員など、事務いすと馴染みの深い職業はもちろん、主婦や大学生まで、幅広い層がレースに魅せられていると言います。それにしても、なぜ事務いす・・・?
日本事務いすレース協会の代表理事・田原剛氏によると、「40~50代の人なら、小学校時代に先生のいすで勝手に遊び、叱られて苦い経験をしたものです。そこで、身近な事務いすを持ち寄り、みんなで走ってみると、子ども時代にタイムスリップしたかのように楽しかった! 道路使用許可をとることができれば、叱られることなく、観戦者も参加者も楽しいイベントになるのではないかと、この企画を考えました」とのこと。
なるほど、確かに教室やオフィスでは疎んじられることを、外で思いっきりやるのは楽しそう! それに、事務いすがあれば老若男女誰でも参加できるという手軽さも魅力。・・・とはいえ、「遊びの延長」感覚で参戦すると、痛い目を見ることになるので要注意。事務いすに座った状態で地面を蹴って走り、スピードを出すのは難しいうえに、長時間ともなると想像以上に体力を使うのだ。その過酷さたるや、途中でタイヤが取れ、背もたれも壊れ、最後にはタイヤの足の根元から折れてしまうこともある程! さらに、「いす-1GP」は年齢や体力だけでは頂点に立つことができないのも妙味。「心・技・体」のバランスが要であり、車(事務いす)とドライバー(選手)とコースのバランスも勝敗の分かれ目に。そう、これは遊びではなく、もはやスポーツ、真剣勝負なのです。
「いすが壊れるか、己が壊れるか」――それは、参加したものにしかわからない言葉。上司・部下の垣根を越えてチーム一丸となり、レースに臨めば、ゴールの先には熱い何かが待っているはず。まだ事務いすに座っているだけのそこのあなた! 今こそ愛用の事務いすと共にオフィスを飛び出し、「いす-1GP」で、思いきり風を感じようではありませんか。10月以降も、24日は岩手県一関市、25日は神奈川県川崎市と東京都中央区、さらになんと台湾台南市でもレースの開催が決まっており、今後ますます盛り上がりを見せてくれそう。さぁ、熱きビジネスマンたちよ、いざ、「いす-1GP」に集え!!
取材協力
日本事務いすレース協会
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