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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
一つひとつの役と真摯に向き合い、愛情をかけてきたという青木さん。活動してきた15年間で、役者として意識が変わった転換点があるかと聞くと、今から10年ほど前に演じたという、2つの役について話してくれた。
 
 

日本を発信できる役者を目指して

 
1つは2006年に初めて主演したNHK土曜ドラマ『繋がれた明日』で、「演出ってこういうことなんだ!」というような指導を受けたことです。その時、自分が台本を読んで想像していた以上のところに、心を連れて行かれたような感覚があった。その体験が、役として感情を出す表現をするうえで、大きな影響を与えてくれました。
 
2つ目は、その翌年にNHKの連続テレビ小説『ちりとてちん』に出演した際に演じた落語家、徒然亭草々の役です。その役を演じた時に、落語って一人語りで景色から登場人物と、何から何まで想像力を利用して話芸でつくるものだと肌で知って。それって究極のエンターテインメントだと感じたんです。それに、役を演じるうえでいろいろと勉強するうちに、やっぱり日本人の役者である以上は、日本についてもっと知っておく必要があるとも感じました。僕は以前から、海外の人に日本はどう思われているのかとか、日本について質問された時に、ちゃんと答えられるような人間になりたいと思っていて、海外留学に行ったこともあるんです。だから改めてこの作品と出合って、馬に乗れて日本舞踊もできる役者を目指して基本的な素養を身に付けたうえで、日本の文化や良さを発信できる人になりたいと思いました。それ以来、落語だけじゃなくて狂言や能、歌舞伎も見るようにしています。
 
 

苦労を乗り越えた経験は血となり肉となる

 
『ちりとてちん』以降も、ドラマに映画にと徐々に活躍の場を増やしていった青木さんだが、役によっては演じるうえで悩むこともあったという。
 
昨年、NHKの木曜時代劇『ちかえもん』で主演の万吉を演じた時は、実は撮影の中盤までずっと悩んでいました。というのも万吉は、後に人形浄瑠璃の『曽根崎心中』を書くことになる作家、近松門左衛門の前に度々現れる、神出鬼没の謎の渡世人という役で。その設定を現実に落とし込むのが難しかったんです。でも途中で、「これはもう理屈でアプローチするんじゃなくて、万吉を天使か何かだと思えばいいんだ!」と気付いて、悩みから抜け出すことができました。そうしたら実際に、後になって制作陣から「万吉は精霊みたいな存在」だと聞かされて。「ああ、そうだったんだ。間違ってなかったんだ」と思いました。
 
そういう、「一体どこからどうやって手をつけよう」という役や、「何でこの役が俺に来たんだろう」っていう役はたまにあって悩むんですけど、いっぽうで嬉しい気持ちもあるんです。それまでの自分の経験がアテにならない分、勉強したり演出家さんと話し合ったり試行錯誤する必要があって、それが全部、血となり肉となるわけですから。そうやって苦労や悩みを乗り越えながら、役を演じるのが好きです。
 
 
 
 
 

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