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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW


 
プロフィール 1947年、千葉県生まれ。ドイツ・ハイデルベルク大学に留学後、上智大学外国語学部ドイツ語学科を卒業する。極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパン、メリタ香港の勤務を経て83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社。リージョナル・マーケティングマネージャーを最後に86年よりトリンプ・インターナショナル・ジャパン(株)に勤務。92年に代表取締役社長に就任し、2006年退任。毎日開催される早朝会議での即断即決経営を武器に19年連続増収増益を達成し、その手法に注目が集まる。2004年には 「平成の名経営者100人」(日本経済新聞社)に選出、2008年第37回ベストドレッサー賞<政治・経済部門>を受賞するなど、世間的な注目度は今も上昇中。主な著書は 『吉越式会議』(講談社) や 『デッドライン決断術―ムダな仕事はネグれ!』(祥伝社)、『どの会社でも結果を出す CEO仕事術』(朝日新聞出版) など。
 
 
 
吉越浩一郎という名を聞けば、まず出版業界の人間は振り返るだろう。『吉越式会議』(講談社) や 『デッドライン決断術―ムダな仕事はネグれ!』(祥伝社)など、実に14冊ものビジネス書を発行しており、どこの書店の棚でも氏の本を見かけないことはまずない。「ビジネスシーンを理解できる人は多いが、説得力を持って語れる人はどれだけいるか?」。氏が後者の範疇に入っていることは、出版冊数だけでなく、読者の反応からも明らかだ。そんな同氏だけに、貴重なインタビューの機会を得たB-plus編集部は、ビジネスの核となるべきことをシンプルに聞きたいと考えた。刊行テーマでもある 「仕事を楽しくするための秘訣」。同氏ははっきりと答える。「それは独立意識ですよ――」と。
 
 
 

すべての組織人は独立を目指せ

 
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 以前は、トリンプ・インターナショナル・ジャパンという会社にいまして、そこを離れてから吉越事務所という自分の事務所を構えました。実際に事務所を立ちあげて思うこと。それは、「こんなに楽しいことはないな!」ということです。どうしてもっと早く独立しようと思わなかったのか。自分で自由に裁量を持てますし、くだらないしがらみもない。すべてのことを自分で決めていけるわけで、まさしく私が提唱する 「仕事はゲーム」 という理念を実体験できている。だから、改めて思ったんですよ。「すべての人は独立を目指すべきなのだ」 と。
 会社組織を離れて、独立を勧めるというのは極端な例に聞こえるかもしれません。しかし、実はそうではないのです。
 想像してみてください。あなたがカードゲームをしていたとしましょう。ポーカーでもブラックジャックでも何でもけっこうです。でも、あなたの背後にボス的なポジションの人がいて、どのカードを切るか、どこで勝負をしかけるのか、すべて指示を出されてしまうと面白くないでしょう? あなたがゲームをしているのではなく、上司がゲームをするための 「手」 でしかないのですから。
 あまねくゲームは、自分で判断し、自分で勝負をするからこそ楽しいのです。仕事だって同じなんですよ。カードをめくったり切ったりすることではなくて、自分の力でゲームに勝利することこそが楽しいのです。逆にカードマシンになってしまうと、ただの指示待ち人間で終わってしまう。
 よく、部下をお持ちの方々が 「うちの部下は向上心がなくて」 などとボヤいている姿を見かけますが、それは本当に部下だけの問題なのでしょうか。上司が部下の背後に立ってあれこれ指示を出し、彼らをカードマシンにしてしまっていないのでしょうか? まずはそこから分析していくことが重要だと私は考えています。
 
 

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