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◆ 世界のモルト愛好家が注目
    「秩父蒸溜所」誕生の軌跡

 
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ジャパニーズウィスキー界の彗星「イチローズモルト」。世界中にコアなファンを増やしている
 知れば知るほど魅了されてしまう魅惑の酒、ウイスキー。実は、今や日本はスコットランド、アイルランド、カナダ、アメリカと並び、世界の五大産地の一つであることをご存知でしょうか。ジャパニーズウイスキーの優しい口当たりや繊細な風味は、世界で高い評価を得ています。とりわけ、注目を集めているのがベンチャーウイスキー社の 「イチローズモルト」。歴史は浅いながらも、2007年よりWWA (ワールド ウイスキー アワード) で連続受賞を飾る、ジャパニーズウイスキーの革命児なのです。
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熱くウィスキー造りを説く肥土伊知郎氏
 イチローズモルトは、生みの親・肥土伊知郎(あくと いちろう)氏の名を冠しています。元をたどると肥土氏の実家は醸造業を営んでおり、羽生市でウイスキーも製造していました。
 
 しかし、経営の危機に瀕して蒸溜所は売却され、ウイスキー事業の撤退も余儀なくされたのです。破棄寸前となったウイスキーの原酒を守るべく、肥土氏は奔走し、笹の川酒造から貯蔵場所の提供を受けることで危機を免れることができました。
 
 こうして無事にウイスキーは熟成され、2005年、イチローズモルトと銘打ち、日の目を浴びることとなったのでした。・・・そして2007年、羽生蒸溜所の流れを受け、新たなジャパニーズウイスキーの聖地として誕生したのが秩父蒸溜所です。肥土氏の飽くなき探究心と情熱のもと、進化を続けるイチローズモルトができるまでをお見せしましょう。

◆ 仕込みにかける手間隙に
    ウイスキー造りの真髄を見る

 
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モルト・スターが製麦したモルトを輸入している
 モルトがウイスキーとして世に出るには、熟成期間を含めると膨大な年月を要します。もちろん、蒸留までにかける時間と労力も並大抵ではありません。まずは、大麦を発芽させ乾燥したモルトを選別し、モルトミルで粉砕。ハスク、グリッツ、フラワーという三段階の粗さに粉砕されたモルトの配合でもウイスキーの味は大きく変化するため、重要な作業です。ちなみに、秩父蒸溜所で通常使用するのは、香りが残ってしまうという理由からノン・ピートのモルトのみ。しかし、夏のメンテナンスの前に限り、ピーティなモルトを仕込んでいるそうなので、ファンは流通を乞うご期待。
 
 その後、マッシュタンという糖化槽に送られ、糖化の工程へ進みます。麦汁を作るために、温水を加えるのは全部で3回。その都度、徹底した温度管理が必要となります。1回目は麦芽の酵素が最もよく働く64℃で、粉砕麦芽とよく混ぜ合わせます。そして、糖を抽出しやすいよう76℃、96℃と湯温を上げていくのです。できあがった1番麦汁と2番麦汁はアルコール発酵の工程に移され、最後の3番麦汁は次の糖化の仕込み水として使用されます。
 
 ウォッシュバックと呼ばれる発酵槽は、世界的に見ても手入れが簡単なステンレスのものがほとんどです。しかし、秩父蒸溜所で使用しているのは、ミズナラの木で作られた特注品。メンテナンスも容易ではありませんが、乳酸菌の発酵には木製が適しているのだとか。発酵中のウォッシュバックからは、梨のようなフルーティな香りが漂います。しかし、覗き込んで深呼吸するのは厳禁。フツフツと上がる泡は、炭酸ガスが発生している証拠なのです。4日間の発酵を経て麦汁はアルコール度数7%前後のモロミへと変わり、ようやく蒸留の工程に移されます。
 
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ミズナラ製のウォッシュバックがあるのは世界でも秩父蒸溜所だけ
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ウォッシュバック内の様子。蓋に泡切が付いていて吹きこぼれを防ぐ
 
 
 
 

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