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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

働く喜びを積み重ね
自立へと導く就労支援

 

利用者の「できる」を増やすサポート

 
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水野 作業内容が健常者の業務と同じというのは一見するとハードルが高いように感じます。でも先ほどのお話のように、少しずつステップアップできるよう導かれているんですよね?
 
稲見 そのとおりです。できることを一つずつ増やした先に、一般就労への道が拓くと考えています。一方で個人差や個性もありますから、「シール貼りが大好き!」という方にはシール貼りを極めてもらうなど、臨機応変に対応していますよ。
 
水野 一人ひとりの個性や適性に合わせて取り組めるようになっているんですね。利用者の方と接する際に意識されていることはありますか?
 
稲見 「利用者様ができることは、可能な限りやっていただく」という点は職員全員で徹底しています。就労支援事業所が行うのはあくまでサポート。介護になってはいけないと考えているんです。
 
水野 サポートと介護って実際は違うんでしょうか? 世間的には似たようなものだと考えられていそうです。
 
稲見 介護は相手の方が生活をしやすくなるようにいろいろと手助けすることですよね。一方の就労支援では、助け過ぎると利用者様のできることを奪ってしまうことになるんです。
 
水野 助け過ぎると成長のチャンスを奪ってしまうわけか。素晴らしい視点です。
 
稲見 だからこそ、就労支援の現場では介護になっては駄目なんです。あくまでもサポートに徹する。そして利用者様が自分で考え、行動し、成長していく。そのように導くことが私たちの使命だと確信しています。
 
水野 一般の就労先をイメージしているからこその信念ですね。
 
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稲見 はい。誤解を恐れずに言えば、就労支援事業所で働くことが目標になってはいけないんです。
 
水野 その先の自立した生活までをイメージした支援が大切だということなんですね。利用者さんの幸せを真剣に考えていらっしゃるのが伝わってきます。
 
稲見 もちろん一般就労がどうしても難しい方は、ここで頑張り続けるという選択肢もあります。楽しく通い、自立に向けて一歩でも前に進んでもらえれば幸いです。つまり、つみ喜は“駅”なんです。駅で働く人もいれば、駅から違う場所に旅立つ人もいるように、いろいろなニーズに合わせたサポートを提供できる場にしたいんです。ワークステーションと名付けたのも、そんな思いからなんですよ。