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ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.22 スタートの店の閉店(移転統合)に思うこと 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役専務

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こんにちは、佐藤勝人です。8月も末になりましたね。サトーカメラ1号店の宇都宮岩曽店が移転統合に伴い閉店してから1ヶ月。今回は記念の意味でも、その話をさせてもらいます。
 
 

宇都宮岩曽店で何があったか
サトカメ伝説の裏エピソード

 
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2018年のサトカメ伝説の最新形、「サトーのベタ焼き」。
全店で爆売れ中!
1988年12月8日、宇都宮岩曽店とともにサトカメ伝説はスタートしました。あれから30年。閉店(移転統合)に際して感慨というほど大げさな感情はないけれど、一つだけ、あるお客さんが岩曽店に来てうちを御贔屓にしてくれることがなかったら、もしかしたらうちもヤマダ電機、ケーズデンキ、コジマの家電量販店3社の「YKK戦争」に巻き込まれてつぶれていたかもしれないということは、思い出しました。
 
どういうことかというと、3社の中でも一番地元のコジマが、売れる商品は手当たり次第に扱って競合店を片っ端から叩きのめすことでのし上がったコジマが、当時、カメラにだけは手を出さなかったんだ。なぜだと思う?
 
ある日のことだ。岩曽店に1人のご婦人がやってきた。その日私は前の晩に飲み過ぎたせいで朝から気分がイマイチで、カメラを買いに来たそのご婦人に対して、今思っても失礼な、適当な接客をしていた。で、カメラをご購入いただいて、保証書に名前を書いてもらうときに、そのご婦人が「小島**子」と書いた。
 
「小島」という字を見た瞬間、「ん! んんん!!!」と無意識に目が行ったのを今でも覚えてる。「もしかしてコジマの社長の奥さん?」と思ったんだよね。それから咄嗟に態度を改めて、最後の退店まで最高に丁寧に接客して送り出した。
 
そして翌日。そのご婦人が店に写真プリントを頼みにいらっしゃった。で、フィルムを現像して写真を見たら、雑誌で見たことのあるコジマの社長が、ご自宅で、100店舗達成のお祝いのケーキのろうそくの火を、吹き消しているところだったんだよ!
 
当時はコジマが一番イケイケどんどんだった頃だ。社長は宇都宮商業高校のOBで、私の大先輩。しかも下の名前が「勝平」で「勝人」と似ていることもあって、私はコジマのファンだった。憧れの小島勝平社長の奥様とわかったら、そこからはもうスケベ根性丸出しだ(笑)。背筋を伸ばして挨拶した。
 
「昨日は大変失礼をいたしました。私は宇都宮商業高校の出身で、小島勝平社長の後輩です! 名前も勝人で、小島社長と一字同じです! 小島社長に憧れています! どうぞよろしくお伝えください!」。奥様はうふふと笑って「言っておいたわよ」と一言。名札に「佐藤勝人」とあるのを昨日見ていたんだろう。それで家に帰って、おもしろいカメラ屋さんがいたわよ、あなたと名前が似ててね・・・みたいな話をしてくださったんだろう。それを機に時々小島社長自身も来店してくれて、家族ぐるみで上得意様になってくださった。
 
小島社長が来るときはおかしいの(笑)。黒塗りの超高級車が店の前に停まる。一瞬ヤクザかと思ってビックリするくらい。そうしたら後部座席の扉が開いて、ステテコ姿の小島社長がちょこんと出てきて、トコトコトコーッと店に入ってきて、カウンターにトン、とフィルムを置いて、トコトコトコーッとまた車に帰っていく。名前も何も言わない。店員は「あ、あ、あ・・・」と追っかけそうにするのを、私が「いい、いい、わかってるから」と制止して、車が走り去っていく。いつもそうだった(笑)。あそこまで偉くなっちゃうと、世間の買い物や受付の手順なんて知らないんだろうね。
 
コジマがカメラを扱わないのは当時「コジマの七不思議」と噂されていて、私はソニーの偉い人たちから「なんでだろう」と真面目に聞かれたこともある。そのときは「ウチの上得意様だもん。あの社長は母校の大先輩だから、ウチの店を可愛がってくれてるから」。と教えてあげたものだった。ただ、小島社長の息子さんに「カメラってそんなに売れるの?」と聞かれたときに、「すごいですよ、メチャ売れますよ」と調子に乗ってうっかり答えちゃったのは、マズかったなぁ(笑)。
 
それから社長が亡くなられ、コジマがビックカメラの傘下に入って経営陣がすっかり入れ替わってからは、私が知っているあの温かいコジマは、もうありません。7月31日をもって宇都宮岩曽店を閉じるにあたり当時のコジマ創業家とのことを思い出して、やっぱり、事業に関しても、巡り合わせというか、人の縁というものは、あるんだろうなあ・・・と思いました。
 
 

ただの猿真似を美化するな!
開発はプロセスに本質がある

 
ちょっとしんみりさせちゃったから、今後の話もしておこう。福岡の個別支援先で「健幸ライフ」という会社があって、そこの社長とは15年来の付き合いなんだが、このたび経営コンサルティングを手がける日本販売促進研究所は同社の健康器具販売における東日本総代理店を始めることになりました。
 
本格始動する前だから詳しい説明は割愛するが、とにかくいい商品だ。ジャンル的には「足踏み健康器」と言えばいいのかな。社長が3年がかりで開発を進めたもので、今までつくった試作品の数も10では済まない。歩くことによる健康法の第一人者で青栁幸利さんという世界的に有名な先生がいて、その方にも非常に評価されたとのことだ。
 
最初は私も、「こんな単純な製品に3年もかかるの。発明ってのは大変だねぇ」と半分呆れていた。でも、和歌山勝人塾でウチの新商品である「サトーのベタ焼き」の話をしたときのことを思い出して、いや違うぞ、と思い直した。連載第20回にも登場した藤原さんに言われたことを思い出したんだ。彼は私にこんなことを言った。
 
「佐藤さん、ウケるからつい、目の前にアルバムが落ちてきて「サトーのベタ焼き」を思い付いたときのエピソードばかりみんなに話してしまうと思うけど、それだと生みの苦しみとか努力の部分が伝わらないよ。商品開発なんてそんな程度でできるんだ、と勘違いさせてしまうよ。だからその前の過程を、社内の反対にあったことなんかも含めて、何にどう悩んでそれをどうクリアしていったかという話もしたほうがいいよ」。
 
健幸ライフの商品を見て、その横にズラーッと並ぶ試作品を見て、藤原さんの言うとおりだと思った。物でもサービスでもそうだが、新たに生まれたものの本質は、完成品だけ見てもわからない。ニュートンだって万有引力の法則を発見するまでには何年も何年も物が落ちる原理について考えていた。考え続けたからこそ、ある日リンゴが木の枝から離れて落ちるのを見た瞬間に「これだ!」とわかったんだ。
 
だから私は、「成功例を真似るのが成功の近道だ!」とか「成功したビジネスモデルに学べ!」とかいう類の薄っぺらなセリフを聞くたびにムカつきます。学ぶことは結構。真似るのもいいだろう。が、それはコピーしろという意味じゃない。松下幸之助も欧米の先行品を大いに真似たが、常に改良して別物に生まれ変わらせた。その努力のほうがむしろその商品の本質だった。
 
健幸ライフの商品開発は3年がかり。「サトーのベタ焼き」も形を得るまでは数年がかりだ。物事が現象する前のプロセスの価値を無視し、無駄とか努力とか失敗の創造性を否定する昨今の風潮に、私は疑問を感じます。流行りのコンサルタントがその類の教訓をたれるたびに「そんなんじゃねえんだよ、ビジネスなめんなよ」と心の中で思うのは、皆さんもそうだと思うんだが、いかがですか。
 
 
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8月22日とちぎ勝人塾
8月23日ビジネス書出版会議
9月5日PIO勝人塾
9月12日にいがた勝人塾
9月21日とうほく勝人塾
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■8月22日(水)15時〜16時いよいよスタート
第1回ニッポン勝人塾
ニコニコ生放送より配信します
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http://sp.live2.nicovideo.jp/watch/lv314657208
 
 
 
繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
 vol.22 スタートの店の閉店(移転統合)に思うこと
  

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)など。新刊の『モノが売れない時代の「繁盛」のつくり方』(同文舘出版)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2018.8.29)
 

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