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ビジネス 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 vol.8 "カッコよさ"とニーズ 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役専務

ビジネス
 
こんにちは。佐藤勝人です。いよいよ年の瀬。皆さんの2015年はどんな年でしたか? 私は、この連載も始めたし、いろいろ充実した1年だったなあ。年の瀬といえば、21日には年も取ります。何歳になるんだっけかな。忘れちゃった(笑)。なんせ90歳まで働くつもりですからね。というわけで、最初はこの話題。
 
 

「レジェンド」の引退に思う

 
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上海出張中、ラクジュアリーショッピングモール
「iapm」にて
誰の記憶にも残る実績を持った大ベテランの人を「レジェンド」と呼ぶようになったのは、最近のことだと思います。そんな彼らにも引退する時は来る。そして、秋から冬になると聞こえてくるのがプロ野球選手の引退です。最近だと巨人の高橋由伸が話題になりましたね。彼なんかは「レジェンド」と呼ぶには貫禄が足らないけど、誰もが認めるレジェンドだった中日ドラゴンズ・山本昌投手の引退には、関連していくつか考えさせられました。
 
愛称で“マサ選手”って呼ばせてもらおう。マサ選手が今年何歳か、皆さん、知ってます? 50歳だよ! 野球選手で50っていえば、それこそとっくにコーチや監督に収まっててもおかしくない年齢ですよ。今年は怪我もあって一軍登板は2回だけで、勝ち星もつかなかったらしいけど、それでも50歳はすごい。
 
・・・けど、辞めなくちゃいけなかったのかな。だって、これがサッカーだったらJ2とかJ3とかのリーグが別にあって、必ずしもJ1にいないとプロと言えないってわけでもないでしょう。だから「J1では難しいけどJ2でならまだやれる」ということだってあるわけだ。実際に“キング・カズ”こと三浦知良選手は来年49歳だけど、先月、J2の横浜FCと来季の契約を更新しました。でもプロ野球だと、一軍の下は二軍。一軍の“控え”の位置づけだから、二軍で現役を続けるのは“カッコわるい”ということにもなる。
 
でもさ、コーチや監督じゃなく、あくまで自分と同じ現役選手としてレジェンドが同じチーム内にいるっていうのは、周りにすごくいい影響があるんだよ。特にプロスポーツの世界は社会経験も精神年齢も未熟な年代で競技人生に入っている人が多いから、自己管理の仕方とか調子の整え方といった「経験がものを言う部分」は、チーム内の先輩たちの姿から学ぶんです。その中にレジェンドがいたら、絶対いいよね。30歳には負けるけど40歳とは互角の勝負をする50歳の選手が一緒にいたら、めちゃカッコいいって思うよね。
 
本来、“カッコよさ”にもバリエーションがあっていいはずなんだ。そして、あるところから先は長く続けることのカッコよさも評価する社会のほうが、派手に短く咲いて散るカッコよさしか知らない社会より、よっぽど文化的だと思います。
 
 

購買欲旺盛な人はどこにいる?

 
そういえばこんなことも聞いたよ。ここ数年、お年寄りがゲートボールをしなくなったんだってね。言われてみれば、昔は朝から近所の公園でゲートボールをしているジャージ姿の老人がよくいたもんだけど、今見ないよね。日経の記事だったと思うけど、理由がおもしろかったな。昔は定年して65歳ぐらいになれば体力が落ちて激しいスポーツはやらなくなっていたけど、平均寿命と一緒に健康寿命が伸びて今の65歳は元気だから、現役中にやっていたテニスとかゴルフとかのスポーツをそのまま続ける人が多いんだそうだ。
 
いや~、わかるねえ。よくわかる。私たち商業者の世界は「マイナス20歳の法則」というのがあるんです。よく間違えるんだけど、60歳のお客に60歳向けの商品を売っても、売れないんです。実年齢マイナス20、40歳ぐらい向けの商品を置いとかないと売れない。服もカメラも、車もそう。カッコイイ外車――こっちはわかりやすいほうのカッコよさね――を買っていくのはみんな高齢者だ。メーカーや広告代理店は30代から40代に向けて「外車ですよ! カッコイイでしょ!」って宣伝するけど、実際買いに来るのは60歳から65歳前後の購買層だもん。
 
そもそもさ、「あなたの年齢はこうだからこの商品が向いていますよ」って勧められてそのまま受け入れるような人は、もともとの購買意欲がそんなにないんだよ。シルバーシートに好んで座ろうとする高齢者で高級ファッションを着こなしている人なんて、いないでしょ。高くていい服を買うような人は、年齢的には高齢であってもシルバーシートは嫌いますよ。商売としては、後者を相手にしたほうがお互いに潤い、効率がいいわけだ。是非はともかくとしてね。
 
 

ニーズに応えれば売れるのか

 
ただし、効率で儲けようとすると、読み間違えた時が危ない。その点で私が理解に苦しむのが、今のこの時代にあえて「パッケージ商法」に打って出た三越伊勢丹とプラン・ドゥ・シーによるウエディングの合弁事業です。報道では10月に合弁会社を設立して業務を始めたそうだ。三越伊勢丹はもともと結婚指輪や高級引き出物の販売が得意な高級百貨店。プラン・ドゥ・シーは式や新婚旅行に強いウエディング会社。両者の強みを合わせたということなんだけども・・・。
 
これ、客のメリットは何があるのかね。業者側のメリットはわかるよ。ワンストップサービスでつないで最後まで顧客でいてもらえれば取りっぱぐれがないし、つなぎ目の労力も省けるだろう。50歳以上の世代には「まとめたパッケージがお得ですよ」といううたい文句も通じるだろう。でも今の世代は、式も指輪もドレスも旅行も、ネットで個別に最安値を探したほうがトータルで安く上がることを知っているし、知らない人からもSNSで情報を集めたりなんかして自分たちだけのオリジナルな式にするのがカッコいいのだから、客側が感じるメリットはかなり薄いはずだ。今回の両社はピントがずれている気がするのは、私だけだろうか。
 
大手の言うことはいつも同じだ。「お客様の声にお応えします」「お客様の希望を叶えました」。ニーズに応じれば売れると思っているのだろうが、それは甘いって。ニーズはニーズ、お客さんがその通り動くとは限らない――いつだってそれが商売の現実だ。我々中小の小売業者でもこの現実が見えているところは強いですよ。
 
さあ、大手に負けないように、来年も攻めて、攻めて、儲けてみっぺ!
 
 
 
佐藤勝人の 儲けてみっぺ
vol.8 "カッコよさ"とニーズ

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)など。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
(2015.12.9)
 
 
 
 

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