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ビジネス 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 vol.7 対価は何に払われるのか 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役専務

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皆さんこんにちは。佐藤勝人です。冬が近づいて鍋の季節ですね。鍋には黙ってサッポロビール、ってか(笑)。何のこっちゃと思う方はぜひ前回を読んでいただきつつ、今月はこの話題から。
 
 

フォルクスワーゲンは不正をしたか

 
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11月2日に行われた「第46回とちぎ勝人塾」より(写真提供 パソコン太郎
ディーゼル車の排ガス規制をめぐるフォルクスワーゲンの不正問題が報道されています。損害賠償とかリコールとかの処理にかかる費用が全部兆円単位だそうで、会社の存続が危ぶまれています。メディアは「なんて愚かなことを」とか、「他のメーカーの信頼を損ねた。到底許されない」といった論調だけど、どうなんだろう。1つの考え方として、むしろ規制のほうが疑わしい気もするけどな。
 
というのはさ、まず、客には規制は無関係なわけだよ。「環境にやさしい車がいい」なんて言うのは建前で、「安い燃料代でガンガン走ってくれるほうがいい」のが当然の本音なんだから。いっぽうで車業界は、電気自動車に行くかハイブリッド車に行くかで長らく次の潮流を争っていた。そこにディーゼル車が食い込んできた。以前はあったディーゼルエンジン特有の振動などの問題も解決されて、人気が高まっている。当然、それだと困る側がいるわけで――。
 
これはあくまで1つの事例だけど、ディーゼル車の排ガスの問題は、実際より悪く言われてきたのかもしれない。規制も現行基準ほど厳しくなくていいのかもしれない。つまり何が言いたいかというと、規制の問題は常に、世間が思うほど単純じゃないということだ。なのに、いかにも正義の味方ヅラで、世間の雰囲気に乗っかって特定の企業を叩くお先棒を担ぐようなことはすべきじゃない。それよりは、例えば「フォルクスワーゲンって、知っててごまかして売っちゃうような、そんな次元の低い会社だっけかな?」と自分なりの基準で評価を保留しておくほうが、よほど品のある反応だと思います。
 
 

NHKは正しいか

 
世間の反応という点では、昔からあるNHKの受信料の問題をめぐっても一言。最近も動きがあったみたいだから、先に報道を引こう。
 
「自民党情報通信戦略調査会放送法の改正に関する小委員会は9月24日、NHKや総務省に対し、NHKの受信契約の有無に関わらず受信料を徴収する『支払い義務化』を求める提言をまとめた。‥略…実現には放送法の改正が必要で、『事実上の税金化』などの批判もある」(毎日新聞)
 
これについての私の見解はこうだ――「受信料は払ってもいい。その代わり、本当の情報を流してくれ。政権に操作されない報道をしてくれ。視聴率のために嘘や歪曲、脚色をしなきゃならない民放とは違うんだから、真実を放送してくれ」。
 
NHK受信料については今までも何度か議論されてきて、そのたびに法的根拠や妥当性が問われますが、そこを論点にする限り、我々は視聴者として当然の権利に気付けないんじゃないか。「受信料」って言うから曖昧になるけど、我々が払っているのは「対価」ですよ。であれば、消費者としてサービスの内容を問うほうが筋だと思うんだよな。
 
 

負けても商売ができますか

 
最後はプロ野球から。日本シリーズも終わったところでいい話を聞きました。横浜ベイスターズがDeNAベイスターズになってから4年間で観客動員を6割もアップさせたそうだ。どうやったかというと、今まではチケット販売数ぐらいの実績データしかなかったところを、ネットも活用してお客さんの声をちゃんと聞いて、「アクティブサラリーマン」という新たな観客層を開拓した。この人たちの特徴は「野球が好き」というより「みんなでスポーツを見て盛り上がることが好き」なところ。「若い女の子や子供を一緒に連れてくる」傾向もある。そこでベイスターズのフロントは、女装した男性も認める「女子割」の日をつくったり、試合終了後にグラウンドで遠投ができる「おやじだらけの遠投大会」みたいなおもしろいイベントを企画したりして、来場者を楽しませる施策をたくさん打った。それが観客動員数の大幅アップにつながった。
 
要はさ、従来のプロ野球は試合に勝つことが優先だったけど、それだと観客はツマンナイわけだよね。清原だって、彼がいた当時の西武ライオンズは勝利最優先の球団で、チームプレーばかりやらされたから、何の個人タイトルも獲れずに引退しちゃった。清原和博って、ものすごい打者だったんだぜ。勝ち負けは結果論だ。観客は試合結果を見に球場に来てるんじゃない。ベイスターズはそこに気付いたわけだね。
 
しかもこれは、球団経営の観点からも正しいんです。プロ野球も勝負事である以上、勝つ確率も負ける確率も半々だ。であれば、負けてもビジネスになるようにしとくのが商売ってもんだ。そのためにどうするか? どんな観客を呼ぶか? そこを考えるべきなのであって、儲からない理由をチームが勝てないせいにする球団は経営戦略が間違ってます。
 
極端に言えばさ、優勝は5年に1回ぐらいでいいのよ(笑)。連勝続きで毎年優勝されちゃったら選手の年俸が上がりすぎて大変だよ。まあ、それでも日本のプロ野球で球団経営が黒字か赤字かって騒がれることがあまりないのは、企業チームだからだろうね。親会社の宣伝広告活動として成り立ってるスポーツだから。試合がつまんなくても勝つことが求められるのも、勝てばテレビで報道されるし、優勝なんかした日には露出がすごいじゃない。だから親会社の宣伝物なんだよ。球団経営で真剣に儲けたいなら観客動員を増やすほうを頑張るもん。
 
いっそプロ野球も地方に新しい球団を増やして、ローカルビジネスとして出直したらどうだろう。既存球団はテレビ露出の持ち時間が減るから反対するだろうけど、新しく球団ができた地域の人たちは喜ぶし、観客動員ビジネスとしてならそれなりに経営が成り立つことはJリーグが実証済だ。もちろん、その時は私の「地域一番化戦略」でローカルビジネスのイロハから指導させてもらうから、ヨロシク!
 
 
 
佐藤勝人の 儲けてみっぺ
vol.7 対価は何に払われるのか

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)など。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
(2015.11.11)
 
 
 
 

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