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ビジネス 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 vol.3 ぺヤング販売再開によせて 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役専務

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「ぺヤング販売再開」から

 
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ウォールアートにもオリジナル精神が息づく。
小売業視察セミナーに行ったアメリカで
皆さんこんにちは。佐藤勝人です。前回の連載は自分のコンサル理論のサワリも紹介させてもらいました。3回目の今回は時事ネタにもどって、「ぺヤング」の話から。
 
販売再開、されましたねえ、ぺヤング。私もさっそく1個買いましたよ・・・って、ないない。買ってない。そんなことで買ったり買わなかったりしないって(笑)。だって、「西のUFO、東のぺヤング」なんて言ってにぎやかされてるけど、こう言うと語弊があるけど、たかがカップ焼きそばでしょ? ファンでなければ何も思わないのが普通であり、正常だと思いますよ。でも編集さんからのお題だから、一商業者として何か言わせてもらうとすれば・・・製造業はこれから大変だよな。
 
報道によれば、まるか食品さんが一日につくっていたぺヤングは40万食です。仮に毎日1食混入が起きていても何十万分の一の確率。しかもぺヤングの1件は、本当にメーカー側での混入なのかどうか不明で、入っていた異物が実際何だったのかもはっきりしないままですよね。そんなレベルの案件に、しかも中小企業が手を打ったということは、この先は日本の製造業全体があのレベルまで対応するのがデフォルトになっちゃったということです。
 
生鮮品もそうです。いつからか「スーパーマーケット基準」なんてことを言い始めて、キズも形のばらつきもない野菜しか売らなくなっちゃった。防腐剤だって、もう入ってない食品はないってぐらいにしてさ、安全マージンを、どんだけ取るんだってぐらい取ってさ、そのせいでアトピーやうつ病の方が増えたっていう説もあるわけでしょう。だからぺヤングで騒いでるお客さんに聞きたいよ。本当にここまで望んでました? あなたたち、今回工場止めさせちゃいましたよ? これからまたどれだけ安全マージン取らせるつもりですか? って。
 
・・・と言いつつ、やっぱりあの対処の細やかさが、日本の製造業が高品質を保てる理由なのかなあ、とも思います。まるか食品さんは今回ぺヤングを販売再開するにあたって、消費者の体や財布の負担になるような改変は商品に一切加えなかったよね。あんなに苛められたのにねぇ。偉いよ。
 
 

イノベーションを考える

 
もう1つ、今回の件はイノベーションについても示唆するところがありそうです。何十万分の一の確率の問題すらつぶそうとする日本人のこの細やかさって、例えば医薬品とか医療器具の分野だと、もっと活きるんじゃないか。その観点からは、今回の対処は「ぺヤングは医薬品分野の基準を食品製造の分野に持ってきた」と読み変えられるかもしれません。さらに言えば、異分野の基準なり要素なりを自分の商品に持ち込むのは、もともと日本人が得意なイノベーションの手法の1つかもしれない。なんと言っても、アジアで初めて西洋の文物を消化・吸収した国民だからね。
 
商品に異分野の基準を取り入れるのと反対に、商品を異分野の基準に合わせることもあります。これもイノベーションの1つでしょう。私は毎年2回、全国の「勝人塾」の塾生を主体に「アメリカ小売業視察セミナー」を開催しています。先日も行ってきました。それで、今回が初めてではないけど、向こうで一風堂のラーメンを食べながら考えたことを・・・。
 
アメリカでは普通のラーメンが一杯1500円ぐらいします。日本で食べる値段の倍以上。私、最初、「高いな~」って思ってたのよ。でも途中から見方を変えたのは、彼らにとってあれは「ラーメン」じゃないんだね。パスタと思って食べてる。店もパスタの店と競争してる。確かに、外人から見たらラーメンはパスタなのよ。パスタは向こうで1500円ぐらいだから、パスタと同じ値段で戦っているんですよね。
 
日本酒も、「日本の文化です」って説明したって世界では受け入れられません。「ワインの一種」と位置づけて、ボトルもそれっぽくして初めて受け入れられます。商品は他に比較できるものがないと買ってもらえないんです。ワインは世界共通の飲み物だから、その一種にすれば世界中に売り出せる。
 
同じことは国内でもありえるんじゃないかな。売り出す市場を変えたほうが商品がよく理解されて価格も上げられるってことがあるかもしれない。それも1つのイノベーションだ。
 
 

商いはホームラン狙いでいいじゃないか

 
どの分野にもない商品をゼロから考える、生み出すのは、やっぱり難しいんです。日本人は島国の国民性だから特にね。それだけに、よそがやってることを「真似ぶ」「学ぶ」のは上手いよね。それもコツコツ、コツコツ。チマチマ、チマチマとね(笑)。
 
ただ、ぺヤングの件にしても、最近の日本はチマチマが行き過ぎてるんじゃないかな。重箱の隅の端っこを突付くみたいな、最初からセカンドゴロ狙いみたいなイノベーションじゃなくてさ、もっとホームランを狙ったほうがいいよ。これは商業者として本当に言いたい。アメリカなんて、他を真似するなんて恥ずかしいことであり、ありえないからね。必ず自分のオリジナルで勝負するからね。それでホームランを狙うから。ホームランを狙った結果がヒットであり、結果的にコツコツになるならわかるけど、最初からヒット狙いのコツコツでは、お客さんが1番期待しているホームランは、絶対に打てないよね。
 
日本の間違いは100%が「正」でそれ以外は「誤」としてしまったことだ。前回話したように、発想のベースが、まだやっぱり製造業なんだな。野球にたとえれば守備だ。野手は守備率100%を狙います。でも商業の世界の販売は、打撃と同じで、攻撃だ。7割失敗しても3割打てば最高のプレーヤーです。両者はそもそも論法が違う。一緒にしちゃいけません。
 
ぺヤングは定番商品の守備の発想でいいでしょう。ただ、守備率100%というのは現実的には無理な話だ。だったら、極端な話、品質を改良して“新生ぺヤング”で、前の1.5倍の値段で販売再開してたらどうだっただろうね。無責任な部外者の想像だけど、あそこまでマスメディアが宣伝してくれたんだから、ホームランが出たかもしらんよ(笑)。
 
商いの基本は“攻め”なのだ。攻めて、攻めて、儲けてみっぺ!
 
 
 
 
佐藤勝人の 儲けてみっぺ
vol.3 ぺヤング販売再開によせて

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)など。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
(2015.7.8)
 
 
 
 

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