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ビジネス 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」  vol.18(最終回) 「クール・サトカメ」からの提言 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役専務

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長く教えている社長から感謝状。うれしいね
皆さんこんにちは。佐藤勝人です。今回でこの連載はひとまず最終回。バックナンバーを見渡してみると、1年と半年間、毎月いろんなトピックを取り上げてきて、私自身もすごく勉強になりました。そこで今回はやや総括的に、私自身が中国やインドといったアジア圏に仕事に行く機会が増え、外から見た日本の現状と課題について自分なりの提言ができるようになったので、それを話そうと思います。
 
 

インバウンド客に学べ

 
『現代ビジネス』に、8月下旬の発表として外国人観光客、いわゆるインバウンドが日本で買い物をした額が4ヶ月連続で前年同期比割れしたというデータがあった。いっぽうで購買客数は過去最高を記録。一見矛盾に感じる2つの結果から、中国人の“爆買い”が完全に終わって買い物の“質”が変わったことがわかるという。
 
中国で海外品を買おうとすると税金が馬鹿高いんです。モノにもよるが、日本に来ると中国の5割安く買えた。だから商売っ気のある人は日本に来てモノを大量に買い、ネット通販で売って稼いでいた。それに対して中国側が税を付加したので、そういう方々が来なくなった。そして今は、その人たちではなく、モノの価値のわかる方々が2回目、3回目の来日をしているタイミングなんだね。そうなると、そういう人たちの買い物は自分や家族用だけだし、観光も、より日本情緒が味わえる田舎に行く。そして彼らは、ここが大事だが、ホンモノには適正価格を払うのだ。
 
これ、今の日本の消費者が学ぶべき点じゃないのかな。日本は豊かになってモノが行きわたった。それはよかったよ。けど、商品やサービスを選ぶ基準が安さと利便性だけになっている今の風潮は寂しくないかい? それで得するのは大手企業だけだ。彼らは個人店とちがってスケールメリットが使えるし、グループの売り上げが拡大すれば満足なんだから。でも、そうやって私たちが自ら消費行動を貧しくしているうちは、地域の生活文化は豊かにならないよ。だからもっといい商品を、未知の商品を、個性的なサービスを楽しもうよ。店や企業はそれを生み出そうよ。そうやって本当の意味で豊かになっていこうよ。――というのが、総括的な提言の1つ目です。
 
 

タフな営業ができる人材を増やせ

 
そうなるには何が必要か。日本の製造業が高性能・多機能と均等品質ばかり追ううちにデザインが海外に遅れたことは繰り返し言ってきたけど、他にも遅れてしまったものがある。目利き、交渉、ブランディング等々。それらをひっくるめて言えば「営業力」だ。“ものづくり日本”の看板の下で製品をつくっていれば安泰だと思っているうちに、これに秀でた人材がいなくなっちゃった。
 
昔で言えば、茶道を完成させた千利休は営業力を備えた人でした。モノの隠れた価値を目利きする力、大名クラスの武将とも対峙して売り込む交渉力、そしてブランディングセンス。スティーブ・ジョブスだって、つまりは千利休だよ。「こういうのがいいんだ!」という強烈なイメージを持ち続けてAppleを広めた結果、今や世界中がその価値を認めている。日本人は謙虚が美徳かしらんけど、ジョブスみたいに「ここぞ!」という時には自分の信じるものを相手に押し込める力も欲しいよね。
 
海外で見ていると、今の日本のビジネスマンみたいに本社の判断を仰いでばかりじゃ営業力が育たないなと感じます。外国、例えばシンガポールなんか、すごいからね。多数決の国じゃないから人も企業も決定が早いし動きも早い。ことビジネスにおいては日本人みたいに民主主義的すぎるのは弊害もあるんです。時には独断専行でいい、タフな営業ができる人材をテコ入れすべきだ。――これが私の2つ目の提言です。
 
 

インドの購買力に目を向けろ

 
そしてインドだ。来てますよ、インド。私の目には今のインドはちょうど10年前の中国に重なって写ります。中国の人口が、四捨五入して14億、インドは13億。表面的には身分制度はないのだが、私が見る限りは身分制度を感じるから、仮に半分を引いても、「給料増えたらテレビを買うぞ!」っていう段階の消費者が4億から5億人ぐらいはいるはずだ。バイイングパワーが半端ない。しかも勤勉で、同じアジアで経済成長を遂げた日本を尊敬している。エンジニア系も多く、実は日本人とは馬が合う。英語圏なのもやりやすい。こんな国の発展に乗らない手はありません。
 
また、インドの経営者は勉強熱心です。やっぱり大きなマーケットを持っている自覚があるんだろうね。しかも日本的な経営のやり方に食いついてくる。現地で教えていてそれをすごく感じます。さらに、戦後の復興期の日本や10年前の中国と決定的に違うのは、スタート時からすでにネットやスマホがある。これが大きいよね。マス商品で勝負するしかなかった我々とはまったく状況が違う。経営者にしたら何が当たるかわからないし、ほんの数%の購買層を当てただけでも何百万個という商品が売れるんだから、絶対おもしろいよ。だから販売とかサービス業の会社にはぜひインドを勧めたい。――これが3つ目の提言だ。
 
 

「クール・ジャパン」の本当の資産

 
最後に「クール・ジャパン」について。日本は尊敬されてますよ、やっぱり。アジアに行くと実感します。どういうところが尊敬されているか。例えば、日本人は、時には自分の利益を犠牲にしてでも精一杯のことをやりますよね。汚いことをしてまで儲けようとせず、相手の役に立とうとしますよね。その姿勢がDNAの根底にありますよね。
 
でも、ビジネスの世界でそんなことをするのは日本ぐらい。だから彼らは感動するんです。国がからむようなインフラ関連の大事業でも民間の小さな案件でも、自分たちの国を本当に発展させに来てくれるのは極端に言えば日本だけだと、一定水準以上の人たちはみんな思っています。「クール・ジャパン」はアニメとか漫画の知財ビジネスの要素でとらえられることが多いけど、本丸はそっちじゃない。日本と日本人の信用そのものです。これは本当に大きな資産だから、大事に守りつつ活かしていこう。――というのが最後の提言です。
 
私が北関東の田舎の栃木県で「地域一番化戦略」を見つけてからもう何年経ったんだろう。その間に全国区で知られるようになり、中国全土のカメラ・写真業界から求められるようになり、今は東南アジア全体と南アジアのインドにも、この地域一番化戦略を根付かせてほしいと言われています。ここまで信用されるようになったのは相手の国、企業、店と本気で向き合い、常に期待以上のものを返してきたからだと思う。その意味では私も「クール・サトカメ」を名乗らせてもらっていいのかな(笑)。
 
皆さんもそれぞれに信用をお持ちのはずです。それを大事にしつつ、強みを思いっきり発揮して、攻めて、攻めて、儲けてみっぺ!
 
 
 
佐藤勝人の「儲けてみっぺ」
vol.18(最終回) 「クール・サトカメ」からの提言

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)など。最新刊『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2016.10.12)
 
 
 
 

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