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ビジネス 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 vol.12 SNSと企業城下町方式 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 商業経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役副社長

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皆さんこんにちは。佐藤勝人です。今日は4月13日。恒例の「佐藤勝人のアメリカ商業視察セミナー」に、1週間後に出発します。シカゴとニューヨークを回る5泊7日。現地の様子はこのフェイスブックに投稿するから、注目ヨロシク!
 
 

SNSでわかる商売のスタンス

 
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サトーカメラの「アジア一」への礎石、中国蘇州のFC1号店
2014年秋の開店当時、現地のカメラ店主らが視察に訪れた
前回、マクドナルドの話をしながら、「日本でハンバーガーをここまでポピュラーにしたのはやはりマックだ。大したもんだ」とつくづく考えていました。その関連で目にとまったのが、『ITmedia ビジネスオンライン』の記事です。それによると、昨2015年は海外の外食店が日本に初上陸するラッシュの年だったそうだ。コーヒーのブルーボトル、ハンバーガーのシェイクシャック、ロブスターロールのルークス、メキシカンブリトーのグズマン・イー・ゴメズ、ミートパイのパイフェイスなどなど。連日行列になっている店も多く、フェイスブックやインスタグラムやツイッターといったSNSをうまく使っていることが共通点のようだ。
 
自慢じゃないが、我がサトーカメラも以前から使っていますよ、フェイスブック。支店ごとにアカウントがあって、スタッフはお店に来たお客さんに、「お店のフェイスブックの友達になりませんか?」と積極的に誘っています。フェイスブックに何を投稿するかは各店舗の裁量。本部はとやかく言いません。例えば午前中にお客さんの出足がイマイチだと感じたら、「今日はこんなイベントをやってます! こんなおもしろい商品が入ってます!」と現場の判断で店の情報をすぐアップできる。それをフェイスブック友達のお客さんが見て、午後から来てくださることも、結構ある。それでお買い物の様子を投稿したら、楽しい雰囲気がすぐまた誰かに広まる。あの即効性、ライブ感はすごい。
 
でも大手は、私が直接知っているのは流通小売りだけど、あまりやらないんだよなあ。お客さんにとってはいいことばかりなのにね。きっと、お馬鹿な投稿も含めて何かの拍子で仕入れ値なんかが暴露されちゃったら怖いんだろう。つまり彼らの商売は、「仕入れ値がいくらだからこの価格なんです。何卒ご理解ください」というスタンスなんだな。それに対しサトーカメラは、「価格はこうです。それに対して自分たちが何を提供できるかだと思っています」というスタンスだ。こっちのほうが、圧倒的に、店もお客さんも楽しいと思うんだけど、皆さんはどう感じます?
 
 

事業目的と事業目標の違い

 
仮に大手がフェイスブックやインスタグラムを始めたとしよう。実際の運用にあたるのは本社の広報部あたりだろう。統制が取れなくなるのを危惧して、現場にはゆだねないと思う。じゃあ、サトーカメラにその危惧がないのはなぜか? 事業目的と事業目標の違いをしっかり教えているからです。
 
いいかい、もう一度言うよ。事業目的と事業目標は違います。私たちの場合、「(お客様の)思い出をキレイに一生残す」ことが事業目的だ。事業目的は何があってもブレない。ブレさせない。絶対に。そして、例えば「1日に5件フェイスブックに投稿する」というのは、事業目標だ。事業目標は日ごと、週ごと、月ごとで変わります。人によっても変わります。「この事業目的に向けて、今日の自分は何を目標にすべきか」をみんながちゃんと理解していれば、それほどトラブルは起きません。
 
こんな話をすると、「そうは言っても、従業員は思うように投稿してくれないよ」と嘆く方々がいます。でも、話を聞くと皆さん、大体が、フェイスブックみたいな無料のものに、1円だって身銭は切りたくないという頭があって、タダでスタッフに動いてもらおうとしている。それは違うんじゃないかな。
 
だから、サトーカメラでは、投稿1件につき100円、本部が広告費として店に支給しています。お金が貯まったらみんなで食事会に行ってもいいし、使い方は店の自由です。「100円ぽっちで偉そうに」と思うかもしれません。でも、人を動かすのは金額の多寡じゃない。腹をくくって金を出す覚悟です。うちの場合、1店舗あたり月平均で1万5000円から2万円かな。グループ全体で月30万円ぐらい。それぐらいの出費で、圧倒的に密度の濃い、熱のある情報をサトカメファンの皆さんにお届けできるんだ。それで自分たちの事業目的に近づけるのなら、やらない手はない。
 
 

「世界一」を語ったトヨタ

 
「お客さんは何についてきてくれるのか。従業員は会社の何についてくるのか」――それを考えるうえで、2月初旬のトヨタの一件は示唆的でした。報道によれば、愛知製鋼というメーカーで起きた爆発事故の影響で、同社からエンジン用鋼材を仕入れていたトヨタは、1週間、国内の全工場の生産ラインを止めたんだそうだ。当初は神戸製鋼など他のメーカーから鋼材を調達して生産を続けることも検討したけど、最終的に品質と価格が折り合わなかったらしい。
 
これ、「どうせまたトヨタが買い叩こうとしたんだろう」みたいな見方があったけど、私は違うと思った。そうじゃなく、「トヨタの厳しい要求に頑張って応えていくうちに、いつのまにか地元の中堅企業が、天下の神戸製鋼といえども代わりが務まらないぐらいに、品質もコスト競争力も上げていた」ということなんじゃないか。
 
トヨタのやり方は企業城下町方式だ。いわば、同じ町内の下請けのおっちゃんたちを連れて世界一を目指したのがトヨタという企業なんだ。熱いよな~。昔はソニーや東芝もそうだったけど、途中から、その時々で世界中で一番安い下請けに鞍替えするアメリカ方式に変えちゃった。それだと短期的にはいいよ。でも、10年20年のスパンで考えたら、トヨタが賢かったよね。
 
だから、今回の件は愛知製鋼を褒めるべきだと思う。「トヨタのキツイ要求に応えきれるのは御社だけだったんですね。すごいですね」って。もっと楽な取引先は他にあったはずだよ。途中でそっちに行ってもよかったんだ。でも、きっと、「世界一になろう! 一緒になろう!」とまで言ってくれるのはトヨタだけだったんだろうね。だからついていったんだ。
 
サトーカメラも「栃木一」は達成したから、次は「アジア一」に向けて頑張っています。さあ、攻めて、攻めて、儲けてみっぺ!
 
 
 
 
佐藤勝人の 儲けてみっぺ
vol.12 SNSと企業城下町方式

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)など。最新刊『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2016.4.13)
 
 
 
 

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