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コインランドリーが増えた!

 
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都内某所。夜10時前のコインランドリー
コインランドリーを見かけることが増えました。昔はコインランドリーといえば銭湯併設で、置いてある機械も洗濯機が半分、乾燥機が半分という感じでしたが、最近のコインランドリーは違います。
 
まず違う点は乾燥機のほうが多いこと。店内3面が使えるとしたら、1面は乾燥機だけで占めているコインランドリーも珍しくありません。あとは洗濯&乾燥機と、布団などの大物洗いもできる大型の濯&乾燥機。昔ながらの縦型の、洗濯しかできない機器を置いてあるコインランドリーは、むしろ少数派です。
 
中にはちょっとしたカフェスペースを設けて、洗いあがるまでの待ち時間をコーヒータイムにしてもらえるようにしたコインランドリーもあります。もっと思い切って隣のカフェとつなぐなどして飲食店と一緒にした業態は、「ミックス」と「レストラン」を掛け合わせて「ミクストラン」と呼ばれています。
 
 

お店が工夫している

 
ミックスのアイデアでおもしろいのが、小田急不動産などが展開するトランクルーム併設のパターンです。衣替えの時期に、これから数ヶ月着なくなる衣類をコインランドリーでまとめて洗い、ガス乾燥機の高温乾燥でふかふかになった状態のままトランクルームに持ち込めば、トランクルームは温湿度管理がされていますから、カビも虫食いも心配なしで次のシーズンまで預けられます。
 
また、最近はコイン不要のコインランドリーも始まっています。今までのコインランドリーは「100円玉いくつ」で料金を設定していましたが、スマホアプリでキャッシュレス決済に対応すれば、100円より細かい単位で料金設定が可能です。関東を中心に展開するコインランドリーフランチャイズチェーンのwash-plus(ウォッシュプラス)では、さっそくこの特性をダイナミックプライシング(需要に応じて料金を変える変動価格制)に応用し、天候による乾燥需要の増減に左右されないコインランドリー経営を目指しています。
 
 

メーカーが頑張っている

 
店舗が業態のミックスや料金設定の工夫でコインランドリー市場の拡大を目指すいっぽうで、機械をつくるメーカーは、家庭では洗えなかったものをコインランドリーに行けば洗えるようにするという方向で、市場拡大を目指しています。
 
コインランドリー機器大手のAQUA(アクア)とTOSEI(トーセイ)が近年力を入れるのは、ともに「布団洗い」です。日経クロストレンドの昨年の記事(コインランドリーがふとん丸洗いに活路 市場規模は4000億円?)によると、AQUAは20年ほど前から布団丸洗い機能の開発に着手。従来コインランドリーでは洗濯が難しかった羽毛布団と敷布団のそれぞれに、専用のコースを開発しました。
 
AQUAが大型の洗濯&乾燥機に「羽毛ふとん専用コース」搭載の新機種をリリースしたのが2020年4月。この機種を導入した店舗では、導入前と比べて売上が1.3倍になったケースもあるようです。
 
また、他の布団より中身が詰まって厚い敷布団は、洗濯すると水を含んで重くなり、乾燥させるときに大変でしたが、敷布団専用乾燥機の新モデルは台車の高さを低く設定。身長163㎝前後の人でも布団を台車にかけやすくなりました。「布団洗いは男の仕事」と旦那さんが休日に張り切っていたのは昔の話。これからは奥さんが、好きなときに一人で敷布団をコインランドリーに洗いに行けます。
 
また、TOSEIは布団に「リフレッシュ」でアプローチしています。昨年8月に販売開始した新モデルFRDG-150Cは、山型の台車に敷布団やマットレスをかけて機械に入れるだけで、高温スチームで布団の中まで殺ダニ・除菌。コースを選べば消臭・乾燥までやってくれます。
 
AQUAもTOSEIも、「布団メンテナンスは天日干しが一番」と考える昔からの天日干し信仰に転向を迫っていると言えそうです。
 
 

コインランドリーは成長産業

 
そしてメーカー側と店舗側両方の努力の成果と言えそうなのが、経済産業省の「事業再構築補助金事業(中小企業等事業再構築促進事業)」の第10次公募から新設された「成長枠」への、「コインランドリー業」の認定です。
 
認定されるためには過去10年か今後10年のいずれかで市場規模が10%以上拡大することが要件ですが、最近20年で店舗数は2倍に増加。現在は2万2000店を超えていると言われます。
 
また、洗濯労働市場という見方で見ると、コインランドリーはまだ市場全体のわずか2%しか占めていません。8%がクリーニング店、残り90%は家庭です。現状各世帯で洗濯機を回して、物干し竿に干してまかなわれている洗濯労働が、仮に全部有料サービスに置き換われば、4.7兆円ぶんの市場が国内に生まれると試算されています。
 
家庭用衣料用洗剤の高機能化や機能性衣料(形状記憶ワイシャツなど)の普及でクリーニング店がこれから減ることを思えば、試算以上のマーケットが見込めるかもしれません。また、先に見た「布団洗い」はそもそも家庭にも存在しなかった(諦められていた)ニーズです。コインランドリーならそれを掘り起こせるということになれば、ますますマーケットが見込めるでしょう。
 
 

発展の鍵はユーザーフレンドリー

 
一昨年11月には、コインランドリーの普及活動を行う一般社団法人日本コインランドリー連合会が発足しました。法人設立の挨拶には、「業界は法整備も整っておらず、出店の阻害要因となる各種規制も改善されていないため、優良な出店場所に店舗が作れない」こと、「コインランドリーの利用率も上がらない中、店舗数が増え続け、店舗の売上が伸びない」状況になってきていることが書かれています。
 
利用者目線からは、コインランドリー検索を標榜するサイトでさえ現状は店舗網羅度が低く、結局はGoogleマップに負けている状態です。いっぽうで、一個人の溢れる情熱で都内の店舗を全制覇し、「東京のコインランドリーのデータベース」と言えるほど網羅性も情報量も充実している「こいんらんどりーでか」というサイトもあり、玉石混交です。
 
このあたりがもっとユーザーフレンドリーに洗練されれば、コインランドリーはもっと身近になり、もっと発展するでしょう。コインランドリーの未来に期待しましょう。
 
(ライター 横須賀次郎)
(2023.8.2)
 
 

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