今後演じてみたい役柄があるかお聞きすると、「全然ない」と即答した要さん。「いただいた役に向き合うだけ」と語る要さんに、俳優としての仕事の向き合い方をうかがった。
新境地にチャレンジする
俳優は、お仕事をいただけなければ何もできません。20代の頃は「こんな役に挑戦してみたい」という思いもあったものの、そういった気持ちがあると現実とのギャップに苦しむ気がするんですよね。その目標を達成しなければいけないという気持ちになりますから。だから、最近は役柄に対してではなく、自分に対して目標を持つようにしているんです。「こんな人間になりたい」「こういった芝居ができるようになりたい」といったものですね。
以前、ある先輩に言われたのが「俳優は演じていなければただの人だから」という言葉です。いただいた仕事に真摯に向き合い、演じさせてもらうことで俳優としていられるんですよ。ただ、先の見えない仕事ではあるので、たまに別の業界にいる自分を想像することもあります(笑)。最近はIT業界なんて良いなと思っているんです。もともと興味のあった分野ですし、新しい便利なサービスを考えられたらおもしろいですよね。それに、かっこいいじゃないですか(笑)。
今はとにかく自分の新境地に挑戦することですね。実は、2020年に出演が決まっていた舞台が、新型コロナウイルスの影響で中止になってしまったんですよ。そのときにやり残した気持ちが、ずっと心の中にあったのだと思います。だからこそ、『レイディマクベス』に懸ける気持ちには大きなものがあります。今まで俳優として培ってきた経験が通用するのかも楽しみですし、これまでに踏み込んだことのない新境地にチャレンジするのが楽しみです。観に来てくださる方にも、要潤のそういったチャレンジを楽しんでいただけたら嬉しいです。
(インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori)
(取材:2023年7月)