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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
スポーツ選手には、ほかの仕事では感じられない感覚や感動を得られることがあるだろう。今でも印象に残っている試合を聞いたところ、「ほかの何にも代えられない経験だった」という試合を教えてくれた。
 

選手が完結させるスポーツ

 
僕が最後に所属した球団が、横浜ベイスターズです。出身が横浜なので、思い入れの強いチームでもありました。そのチームで日本一を達成できたことが、現役時代で一番心に残っていることかもしれません。そのとき、横浜は38年ぶりの日本一でした。だから熱気もすごかったんですよ。
 
日本一を決める試合で登板することもできましたし、言葉にするのはなかなか難しい感情がありましたね。日本一になった試合の一員としてプレーできたのは、何にも代えられない経験です。あの喜びは決して忘れられません。
 
野球に関わらず、スポーツは国の垣根を越えて楽しめるものです。僕も、多くの外国人選手と共にプレーしました。政治的なこともすべて越えて団結できます。また、数あるスポーツの中で野球をひいきさせてもらうなら、時間の制約がないことが大きな魅力ですね。
 
どれだけ点差が離れていても、3アウトにならなければ逆転ができます。最後の最後まで、本当に勝ち負けがわからないんですよ。観客の方々も、そういうワクワク感を楽しみにしてくれている部分もあるのではないでしょうか。
 
また、球技の中では珍しく人が完結させなければいけないスポーツです。サッカーやバスケは、ボールがゴールに入れば点数が入りますよね。でも、野球は選手がホームベースを踏まなければいけません。ヒットとなる打球を打っても、あまりにも足が遅ければアウトになりますし、ホームランを打っても、ベースを踏み忘れたら0点です。最後は選手がしっかりと完結させなければいけない。それが、僕が野球に感じている魅力でもあります。
 
 
(インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori/ヘアメイク 武本萌/スタイリスト 部坂尚吾(江東衣裳))
衣装協力
スーツ 44万円(イザイア / イザイア ナポリ 東京ミッドタウン 03-6447-0624)
タイ 2万4200円(THE CLOAKROOM / THE CLOAKROOM TOKYO 03-6263-9976)
シューズ 8万2500(JOSEPH CHEANEY / BRITISH MADE 銀座店 03-6263-9955)
 
 
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阿波野秀幸 (あわの ひでゆき)
1964年生まれ 神奈川県出身
 
1986年度ドラフト会議で、読売ジャイアンツ、横浜大洋ホエールズ、近鉄バファローズから1位指名を受け、近鉄バファローズに所属。1年目は両リーグの最多奪三振を記録。その後、読売ジャイアンツを経て、横浜ベイスターズに所属し、日本一を達成した。2000年に現役を引退。2001年から巨人の二軍投手コーチを務めるなど、コーチの実績を積む。2007年からはテレビ東京の野球解説者として活躍した。2012年からはコーチ業に戻り、2023年シーズンは読売ジャイアンツの一軍投手チーフコーチを務める。
 
 
(取材:2022年10月)