2017年に宝塚歌劇団を退団した実咲さん。新しい環境での活動をスタートし、どのような変化を感じたのだろうか。
宝塚で染みついた精神を大切に
お芝居のお仕事をさせていただいて感じたのは、短期間での出会いと別れが多いということです。宝塚時代は、常に同じメンバーで公演をしていました。それが、一つの作品ごとに変わるようになりましたからね。宝塚の先輩の中には、「仲良くなったのに、そのメンバーで次のお仕事ができないことが寂しい」とおっしゃる方もいます。私の場合は「これがお仕事というものなんだな」と新鮮な気持ちになりました。宝塚というアットホームな場所を出たんだと実感しました。
別れが早い分、出会いも多くあります。その一つひとつの出会いを大切にしていきたいと思っているんですよ。つながりを大切にすることは、宝塚で学んだことの一つです。先輩方から「人との出会いを大切にしなさい」「一つひとつの作品を、これが最後だと思ってやりなさい」と教えていただきました。長い間、宝塚で先輩から後輩へ伝えられている精神だと思います。宝塚出身の方々は、みなさんこの考えが染みついているのではないでしょうか。
宝塚は、役者に合わせた作品や役を用意している部分があると思います。その組や役者の個性に合わせたものになるんです。でも、今は自分がどれだけいただいた役に合わせていくか。どう役にハマっていくかが大切なんです。それが宝塚との違いであり、難しさであり、おもしろさでもあると思っています。
今後は、私のイメージにない役や作品に挑戦してみたいですね。今までの私とは違った一面をみなさんにお見せしたいと思っているんです。ファンの方々には、「次はどんな役を演じるのだろう」とワクワクしてもらいたいんですよ。ずっと興味を持っていてもらうために自分を磨き続け、ワクワクするものを追求していきたいと思います。
(インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori/ヘアメイク 長野一浩/スタイリスト 澤村紀依)
ワンピース/old honey
イヤリング/Misaki
(取材:2021年3月)