インタビューの中で、「このタイミングで赤星を演じられたのは幸運だった」と語った江口さん。その真意について聞いた。
チャンスを逃さないために準備が必要
例えば、まじめな役を演じていたら「次は悪い人間の役をやりたいな」と思うようになります。特に40代の頃はシリアスな役を演じることが多かった。そんな中、赤星は悪いやつなんだけど、憎めない三枚目(笑)。そろそろそういった役を演じたいと考えていたので、巡り合わせに感謝しましたね。
求めている役柄と、それに出合うタイミングは大切です。もちろん、仕事をするうえではそのタイミングがズレていることもあります。それでも役に最大限寄せていくのが僕たちの仕事。観てくださる方にとっては、そういったズレは関係ないのかもしれませんしね。だからこそ、自分が求めているものと出合うタイミングが合致していたときの嬉しさはひとしおですね。そのチャンスは絶対に逃さないようにしています。
そのためには、どんな役のオファーをいただいても応えられるように、準備をしておくことが大切です。僕の場合は、とにかく映画やドラマ作品を観るようにしています。ジャンルは問いません。映画館に行くこともありますし、動画配信サービスを利用することも多いです。作品を観ることで自分を盛り上げたり、逆に冷静になったり。さまざまな作品を観ることは役づくりの準備にもなりますし、モチベーションの維持にもなるんですよ。
いい芝居をしている俳優を見ると、気分が高揚します。ただ、それは決して俳優だけの力ではありません。素晴らしい脚本があり、それにふさわしいロケ地が選ばれる。そして照明や音声、カメラなどすべてが準備された中に、最後に入るのが俳優です。だから、素晴らしい作品を観たときは、その素晴らしかったであろう現場で仕事をしてみたかったなぁという羨望も感じますよ。