今ではレミさんのご子息がホームページの制作やレシピ動画をつくってくれているという。ご家族と共に仕事をすることは、もともとレミさんのビジョンにあったことなのか聞いた。
好きなことを選んで生きる
家族と何か一緒に仕事をしてみようとは、まったく考えたこともありませんでした。私はただ、ひとつの鍋で何役もこなせる自分の理想のフライパンをつくりたいということだけを考えていたので。お鍋のメーカーである株式会社オダジマさんにお声がけいただいて、開発できることになったときは嬉しかったですね。そうして、3年かけて「レミパン」が誕生したんですよ。
すると、次男が「もっとこういう機能があったらいいんじゃないか」と意見をくれるようになりました。そして「楽しそうだから」と言って勤めていた広告代理店を退職し、レミパンをさらに進化させた「レミパンプラス」の開発に関わるようになったんです。
そんな息子のお嫁さんである、和田明日香――あーちゃんも、いつの間にか料理の道に入っていましたね(笑)。あーちゃんはもともと、料理が苦手だったんですよ。子どもが3人生まれたので、頑張って料理しているうちに大好きになったみたい。息子もあーちゃんも、だんだんと私の道に近付いてきた感覚ですね。私が好きなことを選んで生きてきたように、家族たちも好きなことを選んだ結果、料理に辿り着いたのかもしれません。
私は将来の展望とか、抱負とかを考えるのが嫌いなんです。いただいた仕事が、自分に向いているのかどうか。向いていると思ったならチャレンジするだけ。そうして突き進んだ道を振り返ったときに、後ろに続いている道が、自分にとっての指針になるんじゃないでしょうか。自分がどういう目標を持っていたのかは、いつか道を振り返ったときに結果としてわかればいいと思いますね。
<インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori>
平野レミ(ひらの れみ)
東京都出身
日航ミュージックサロンで歌手デビュー。TBSのラジオ番組などにも出演するように。結婚後も歌手として活動したものの、育児に専念するために引退。その後は、料理愛好家として活動を始める。NHKの『きょうの料理』でお茶の間の人気を確立。多機能鍋「レミパン」、「レミパンプラス」など、キッチン用品の開発も手がける。著書に『平野レミの新・140字レシピ』(扶桑社)や『平野レミのしあわせレシピ』(自由国民社)や『わたしの和だし』(ナツメ社)など他、多数。
公式ホームページ
https://remy.jp/
(取材:2019年3月)