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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

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人との触れ合いを大事にしつつ、相手に寄りかかりすぎず、突き放しもない。他人と楽しく過ごしていくためにバランスの取れた距離を保とうとする姿勢は、玉袋さんが幼い頃からたくさんの公共の場で学んできた結果、培われたものらしい。そして、そうした節度のある態度が、師匠であるビートたけしさんとの出会いでも発揮されていた。
 
 

好きだからこそ痩せ我慢が必要

 
 殿は僕の全てです。高校時代から友達と3人でおっかけをしていましたからね。でもその当時は、「おまえら、飯食いにいこう」と殿が誘ってくれても、断っていました。そんなの図々しいと思っていたから。今の僕も、高校生のファンがしょっちゅう会いに来てくれたらすごく嬉しいし、可愛くて仕方ない。殿もそうだったと思うんです。それでも、恐れ多いから遠慮してましたね。それに、声をかけてくれたことに甘えて質問しまくっちゃうとか、鼻高々で調子乗っちゃうとか、そうなってはいけないと思ったんですよ。だから、あの頃から自分なりに他人との距離感を大事にしてたんでしょうね。
 
 でも、そういう出来事が何回も続いたある日に、ラッシャー板前さんが僕らの所にきて、「一緒に店に入ってくれないと、僕らが怒られるから」と言われたんです。それで、ご一緒させていただきました。すごく嬉しかったですよ。でもその後も、自分の口から「弟子にしてください!」とはなかなか言えなかったですね。それがある日、殿のほうから声をかけてくれたんですよ。その時は本当に感激しました。そうなったのもやっぱり、殿と一定の距離を保つように努めていたからだと思うんです。
 
 だから今も、殿との距離感は大事にしています。本当は毎日一緒にいたいですよ。いろんなことをやって、殿と一緒に笑っていたい。でも、そこはやせ我慢しないと。殿といる時間は僕にとって、時を忘れられる竜宮城でのひと時なんです。あの人の運転手や付き人をやる人間なんて、毎日が最高なんですよ。常に世界一の男を見られて、その人の世話までできるんだから。でも、その立場を卒業してしまうと抜け殻になっちゃう奴もいるんだよね。僕と相棒の水道橋博士はそうならないように気を付けていたし、今でも年に2回くらい3人で食事をする時以外は、なるべくベタベタしないようにしている。大切な人たちとの付き合いでも、そんな節度ある距離を保つことが大事だと思っています。
 
 
 
(インタビュー・文 佐藤学 /写真 Nori/スタイリスト 高橋めぐみ)
 
 
 
玉袋筋太郎(たまぶくろ すじたろう) 本名:赤江祐一(あかえ ゆういち)
 
1967年6月生まれ 東京都新宿区出身
 
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高校時代から友人とともにビートたけしの追っかけとして活動し、1986年に弟子入り。浅草のフランス座で修業を積みながら、夜はスナックで働く日々を送った。

1987年に水道橋博士と漫才コンビ「浅草キッド」を結成。以来、テレビやラジオなど多方面で活躍している。趣味はスナックめぐりなど。バラエティ番組『玉袋筋太郎のナイトスナッカーズ』に出演する他、お台場で「スナック玉ちゃん」を隔月で開店しマスターを務めている。

2013年には日本の“スナック文化”を世間一般に広く伝えるべく、一般社団法人全日本スナック連盟を立ち上げ会長職に就いた。著書に『男子のための人生のルール』(イースト・プレス)、『浅草キッド玉ちゃんのスナック案内』(エンターブレイン)などがある。

オフィシャルブログ タマブクロドットコム 
http://www.tamabukuro.com
 
 
一般社団法人全日本スナック連盟
http://www.snaren.jp
 
 
 
 (取材:2014年11月)
 
 
 
 

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