チームと地元に対する愛が
育む“継続するチカラ”
シーズン開幕前に、“全試合フル出場” という目標を掲げ、それに向かって冷静沈着に歩みを進めるという曽ヶ端選手。“継続” の中で得たものは何か? との問いかけに、これまでの淡々とした語り口が、熱を帯びたものへと変化していった。
地元愛とチーム愛が原動力に
私が長く選手として頑張りたいという思いの裏には、地元であるこのクラブと応援してくださるサポーターの皆さんにずっと貢献し続けたいという気持ちがあります。小学生の頃からサッカーを始め、当時は 「生まれ育ったこの鹿嶋市にプロチームができたらいいな」、などと思ったりもしました。その夢が叶い、しかもそのチームに所属し、選手としてプレーができているんですよ。私にとって、これほど幸せなことはありません。そして、そんな私を支えてくれるサポーターの皆さんの思いに応えるために、一日でも一年でも長くプレーをし続けていかなくてはならないと思っています。
最近は、Jリーグのチームに2~3年在籍した後に、海外のクラブチームへ移籍する若手選手も増えてきました。それらを否定するつもりは全くありません。でも、自分という選手の能力を最初に認めてくれたからこそ入団したチームに対して、何か恩返しをしてから移籍しても遅くはないと思うのも確かです。サポーターの皆さんも温かい声援を送ってくださるし、入団以来、自分を育て支えてくれたクラブなのですから。しっかり実績を残して、「あいつなら海外でも期待に応えてくれる」 と、チームのメンバーやサポーター、スポンサーの方々、誰もが認めてくれる選手になって気持ちよく送り出されるのが、理想の移籍ではないかと思っています。
もちろん、所属チームが魅力的であるか否かによって状況も変わってくるでしょう。私が所属する鹿島アントラーズは、私にとっては、大変魅力的なチームです。このチームに在籍してきたことで、何度も優勝の喜びを味わうことができましたし、これからもずっと、そして何度だってその喜びを勝ち取りたいと思っています。それができるチームであるからこそ、ここを離れることなど全く考えられませんし、チームの優勝に貢献していきたいと強く思っています。
曽ヶ端選手には、人一倍強いチームや地元に対する愛情があることがわかった。それらの愛情は、最近の日本社会において、少しずつ薄れている感情のように思えるのだが。なぜ、それほどまでの愛情が注げるのであろうか。
チームと良い関係を持つために
ホームタウンの地域性もあるのかもしれませんが、鹿島アントラーズでは、クラブとサポーター、スポンサーが一体となって、選手が力を発揮できるよう支援してくれています。私たちが全力でプレーできる環境を用意してくれるのが実感できるからこそ、私たちもそれに応えようという、シンプルな信頼関係の構図ができているのです。たとえばチームスタッフの方々は、対応が丁寧でスピーディ。頼んでいたことが、素早く確実に実行されるので非常に信頼しています。大切にされていると思うと、それに報いたいという意識が自然と強くなりますよね。だから、結果を出そうと選手全員が努力をする。長く貢献し続けようと、しっかり自己管理をする。そしてチームが一丸となれるように、それぞれが自分の役割を果たすようになる。誰かに言われるのではなく、自然とそうなるんですよ。だから、クラブと選手の関係が単にビジネスライクなものに終わらず、「全員がファミリー」 と感じられるのです。そんなクラブだからこそ私はこの、鹿島アントラーズに愛着を感じますし、もっともっと力を発揮して貢献していきたいのです。
今後も、もちろんチームの核として長く活躍したいです。チームメイトは仲間ですが、ライバルであることも確かです。年下の選手からの突き上げもありますし、ポジション争いに勝たないことには試合に出場できません。だから、みんなと切磋琢磨していきたいですね。私もまだまだレベルアップを図れると確信していますので、この素晴らしいチームで頑張っていきますよ。
(インタビュー・文 伊藤秋廣 / 写真 Nori)