リユースの業態をオートバイ市場に確立
時代に先駆けたエネルギーとスピリッツ
成長できる環境ときっかけがあれば人は伸びる
――アイケイコーポレーションでは、リーダー職に昇格するときに1冊の手帖を手渡される。スケジュール表のほか、理念や今期の数値計画、マネジメントのスピリット、部下にこういう指導をしていきなさいという方針や規範が入っているという。手帖は白いものから始まり、シニアリーダーになった時点で黒いものになる。何かあったときに手帖を開いて数値を見直し、目標を明確にできる利点がある。
中古オートバイの業界が確立されるまでは、人材確保が非常に大変でした。オートバイは不良が乗るものというイメージに加え、面接に来る入社希望者も、スーツ姿の人を探すほうが大変なほど。みんなつなぎで来るのが当たり前でした。それから比べれば、上場して認知され、人材確保ができるようになりましたから、今は幸せです。
採用の部分では、やはり情熱のある人と一緒に仕事がしたいと思います。でも採用してからは、こちらが働きかけていかなければいけないと考えていますね。
人間って、各自の中にちゃんとエネルギーがあり、環境ときっかけさえ作ってあげれば、皆成長できるのです。
若い頃、私自身も、まだまだいけると信じていましたし、「こんな自分でもできたんだから、この人ができないはずはない」と思って社員を見ていました。会社が成長していく過程では、ついてこられない社員も確かにいました。思っていた以上に成長のスピードが速かったこともあるのでしょう。でも、せっかく確保した人材です。一人も辞めてほしくなかったから、スピードについてこれるよう、一生懸命助けあってきました。
そこには団結力というか、コミュニケーションというか・・・人間どうしの熱いものがありましたね。
精神論だけではなく、仕組みも作っていきました。オートバイショップではおよそやっていなかったような研修も早い段階から取り入れ、講師を招いて勉強会もしています。
きっかけを作った例はいくつもありますが、私自身にもとても役立ったのは、新店舗を立ち上げることでした。
信頼できる店長に新卒を5人預け、1店舗の立ち上げを任せたのです。店長は、優秀とはいえ新卒の人間を任されるのですから大変です。でも、新卒の社員には採用後の成長がある。それに伴い店長も成長しますから、今後にその経験が生きてくる。「店舗を任せる / 任された」というきっかけと環境を経験する中で皆が成長していくのです。仕組みがあれば、何も無謀じゃないのです。
悔しいと思え!
仕事を楽しむコツは、目標を持つこと。私自身、目標がなければ、どこかで諦めていたことがあったと思います。「何店舗にしたい、社員を増やしたい、上場したい」という目標があったからこそ、ここまでやってこれたと思う。
でも中には、目標を見失っている人も、目標を立てられない人もいるわけです。それならばと、うちの会社は毎月の目標を立てるようにしました。今は3ヶ月ごとに結果を出し、目標を達成した人は表彰するシステムにしています。
まだそんな仕組みのなかった時代に私がやったことを、一つ紹介しましょう。
まず、同世代のライバルを定めました。同世代で成功している人を目標に置くんです。そういう人を見ていると、結構焦るんですよね(笑)。悔しいんですよ。いい車に乗っていたり、いいレストランに行っていたり。
小さなことですが、「いつか追いついてやる!」と、やる気が出てくるのです。
目標を立てて達成することは勝ちグセを付けることにつながります。目標は立てないより立てたほうが絶対にいい。それも、短いスパンのものがいい。半年後、1年後の目標はなんだかんだと言い訳してしまって、なかなか達成できないものです。1か月ごとがいいですね。目標がより明確化されていきますから。
勝ちグセならぬ“達成グセ”を付けることが一番です。それを繰り返すことで仕事が楽しくなっていく。だから小さい目標でいいんです。すぐ達成できることから始めて、“達成グセ”をつけていくことが重要です。
社員にも「言い訳がうまくなるのは、負けグセが付きはじめた証拠だぞ!」とよく言います。仕事を楽しもうと思ったら、小さいことから始めて、達成グセと勝ちグセを身に付けていくといいと思いますよ。
(インタビュー・文 樋田篤子 / 写真 大木真明)
会社概要
株式会社 アイケイコーポレーション
本社所在地
〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-1-39 恵比寿プライムスクエア18階
設 立
1998年9月(創業1994年9月)
従業員数
814名(2008年8月末日現在 連結)
資本金
585百万円(2008年8月末日現在)
売上高
24,588百万円(2008年8月期 連結)
オフィシャルサイト