田渕　また、私たちは患者様とのかかわり方において、気遣いとコミュニケーションを大切にしています。例えば足が不自由な患者様の場合は、窓口ではなく私たちのほうから待合室に出て薬をお渡しするなど、患者様の状況をよく見て最適な接客をしているんです。もちろんあらゆる情報は私とスタッフで共有しますし、その日の出来事をミーティングで話し合っています。
 
濱中　そのような姿勢を保ち続けていると、患者さんから喜びの言葉をたくさんいただけるでしょうね。私は現役時代に大ケガをして、「もう野球を続けることはできない」と感じ腐っていた時期があるんですよ。そんなときに、ファンの皆さんが「必ずライトのポジションに帰ってきてください」と書いた数百人分のアルバムを送ってくださいました。
 
田渕　そのアルバムのおかげで立ち直ることができたわけですね。
 
濱中　ええ。私の復活を待っているファンを裏切ることはできない。もう一度リハビリを始めよう。そう決心して練習も再開しグラウンドに戻ることができたんです。だから私の座右の銘は“感謝”。引退後も色紙には常にこの言葉を添えています。