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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

農業×福祉の相乗効果で
袖ケ浦の地域創生に貢献

 

決断力と行動力が生んだ異例の経歴

 
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千葉 あらためて、稲村代表のこれまでのご経歴をお聞かせください。
 
稲村 私は2023年3月まで大学院に通っており、建築について学んでいました。そこでは意匠設計という、建物の外観や内観のデザイン設計を専門としていたんです。また、在学中には設計や建物以外のデザイン、例えば名刺やWebページ制作、SNSの投稿ページデザインなどを請け負う個人事業も行っていました。
 
千葉 学生の頃から事業を手がけておられたとは驚きです! それにしても、大学院まで建築を学んでいたところからなぜ農業に携わることになったのでしょう。
 
稲村 近年、生成AIの進化により、誰でも手軽に図面や建築イメージがつくれるようになったことで、残念ながら私の建築や設計への興味が薄れてしまいまして。そこで何をしようか考えたときに、私の親族が米農家だったこともあり、幼少期から親しみがあった農業をしようと思いたったんです。そこでさっそく手続きをして農地を手に入れ、1年間、農業に従事しました。そうしたらとても楽しくて。今後も農業をずっと続けていきたいなと思ったんですよ。
 
千葉 ご家族が農家さんだったとはいえ、すぐに農地を手に入れて活動とは驚きました!とんでもない行動力ですね(笑)。お一人で農家を始めたんですか?
 
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稲村 そうなんです。そこで一人で始めてみて、これからも長く農業を生業として続けていくには、もっと大きい面積の農地で作物を生産する必要があると感じました。しかし、農地が広がれば、当然ながらその分の作業量も増えますから、私一人ですべてをこなすのは難しく、従業員を雇わなければなりませんでした。そこでどうすべきか悩んでいたとき、農業関係の知り合いから「農福連携」という考え方を聞いたんです。これは農林水産省が推し進めている取り組みで、障がい者が農業分野で活躍し、社会参画することを目指すだけでなく、人材不足や高齢化といった課題を抱える農業分野において、新たな働き手を引き入れることができるというものなんです。
 
千葉 農家の方と障がい者の方、双方に良い点がある取り組みなんですね。
 
稲村 ええ。ただ、私は障がい者支援に関してはまったくの未経験でしたので、福祉についてのノウハウを学ぼうと障がい者支援施設に就職し、正社員として約1年勤務したんです。その間に当法人の設立準備を並行して進め、2024年2月に法人を設立し、4月に事業所を開設しました。
 
千葉 福祉について学ぶために自ら福祉業界の現場に飛び込むとは、やはりすごい行動力ですね!