長い会社勤めを経て40代で農家に
竹本 そうなんです。農園のすぐ隣に実家があります。祖父が農業をしていた頃は、山の上でぶどうをつくっており、このあたりのハウスは全部田んぼでした。ですが、山の上での作業はとても大変なうえに水もないので、父親の代で平地のハウスにぶどう畑を移して今に至ります。
亀山 ぶどう栽培の巨大なハウスが並んでいて、広いですよねぇ。この農園を見て育った竹本社長は、やはり、いずれは自分が継ぐものだと思っていたのでしょうか?
竹本 いえ、その気はありませんでした。当時、農業はすでに斜陽産業とされていましたし、親にも継がなくていいと言われていましたからね。ただ、会社勤めをしていた30代前半の頃、父が農園のハウスを造設したタイミングで「ちょっとやってみないか」と声をかけてきたことがありました。その時は断ってしまったものの、さらに10年近くたち、当時の職場でけがをした事情などもあって、家業に入る決断をしたわけです。2016年頃のことですね。
亀山 家業で馴染みがあるとはいえ、40代から新しい仕事をスタートすることに、抵抗はなかったですか?
竹本 はい。農業自体は嫌いではなかったですし、何事も自分で決めてやっていけるのはおもしろそうだと思いましたね。