阿内 もともと父が鉄筋工の職人をしていたんです。その影響で最初は父の仕事の手伝いをしていました。その後、私が日本を離れてアメリカへ行っていたので10年くらいは別の仕事をしていたんですよ。
阿部 10年も! ちなみに、海外ではどういったお仕事をされていたのですか?
阿内 寿司職人をしていました。職場で出会った師匠が職人気質の方で、職人としての心得というものを叩き込まれましたね。
阿部 建築とは畑違いのお仕事で驚きました。ということは、帰国後に再度鉄筋工のお仕事に就かれたということですね。
阿内 はい。鉄筋工を手がける親方のもとで修業をして、個人事業主として仕事を請け負っていました。そして2018年に阿内工業を立ち上げたんです。
阿部 では、事業内容についても詳しく教えてください。
阿内 鉄筋の加工、溶接、組み立てをメインに手がけています。一言で言うと、鉄筋コンクリートの骨組みとなる部分で、それを工場でそれぞれの現場に適応するため、図面の通りに指定の長さに切ったり、必要な形に曲げたりしているんです。主に、マンションや倉庫などの壁、梁、柱、バルコニーで使われる鉄筋を加工しています。
阿部 なるほど。かなり緻密な作業が必要とされそうです。
阿内 そうなんです。建物の構造にぴったりはまるように加工を施すことが重要なので、丁寧に作業することが求められます。その点、私は数多くの建築プロジェクトをサポートしてきた経験があるので、品質に自負がある製品をご提供しているんです。ちなみに、私どもで組み立てた鉄筋自体は建物の完成時にはコンクリートに覆われて姿形は見えなくなります。だからと言って手を抜くことは一切ありません。鉄筋は建物の構造力学的にも、建物の寿命につながる重要な役割を果たしているので、精度の高い鉄筋加工を心がけています。