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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

警察犬の訓練もお任せ!
熟練のドッグトレーナー

 

押し付けるのではなく、楽しさを引き出す

 
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水野 長きにわたり経験を積んでこられた市川所長が、お仕事の中で大事にされていることは?
 
市川 ワンちゃんに対して躾を無理に押し付けないことです。たとえ言葉が伝わらなくても、人間と同じ感情のある動物ですからね。気分が乗らないときに嫌なことを押し付けられたら不機嫌になるのは当然です。だからこそ、まずはワンちゃんのやる気を出すために、信頼関係を築き上げることが大切なんですよ。
 
水野 確かに、人間同士のように言葉や理屈で納得してもらうことはできませんからね。それよりもワンちゃんにとっては、楽しいとか嬉しいという感情がモチベーションにつながると。
 
市川 その通りです。一緒に遊んだり、褒めたり、おやつをあげたりすることで、ワンちゃんの楽しさや嬉しさを引き出してあげるんですよ。ほかにも、いろいろな場所や環境に慣れさせるために、車に乗せて公園などに連れて行くこともあります。でも、ワンちゃんの多くは、初めての場所だと緊張したり怖がったりしますので、そんな時は心の準備ができるまで待ってあげるんです。
 
水野 ワンちゃんが自然と慣れてくるまで、優しく見守ってあげると。でも一般的には、最初から「待て」とか「伏せ」とかを教え込むのがトレーニングだと考えている方も多いと思いますし、見守ることから始めるトレーニングを知ったら驚く人もいる気がしますね。
 
市川 確かに、最初のうちはただ遊んでるように見えたり、何をしているのかわからず疑問に思ったりする方もいらっしゃるかもしれません。でも、そのように遊びながらワンちゃんの状態を確認して、準備を整えていくのが大事なんです。
 
水野 そのうえさらに警察犬の訓練となると、また特別なトレーニングが必要になるのではないでしょうか。
 
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市川 ええ。千葉県警の嘱託警察犬の場合、昨年2022年まで2科目の審査がありました。一つは臭気選別作業といって、仮想犯人の遺留品から布に移行させたにおいを嗅がせて、それと同じにおいのする布を10m離れた台の上から探して持ってくるという訓練。もう一つは、足跡追及といって、人が歩いた後のにおいを辿って追跡し、遺留品などを見つけるという訓練です。今年からは足跡追及の1科目になりました。いずれも警察犬が自主的に行動し、判断する能力が求められるんですよ。
 
水野 そういえば、千葉県というと成田空港もありますよね。あちらは関税の管轄になるんですか?
 
市川 そうなんです。空港で活動する麻薬探知犬などは、警察犬とはまた別に訓練されるんですよ。私も一度、麻薬探知犬の訓練の様子を見学したことがあります。そこでも楽しく遊びながら訓練していると知って、基本は私たちと同じなんだとあらためて認識しましたね。