鶴久 漢方薬局いけだやの池田代表にお話をうかがいます。実はチェッカーズとして多忙だった頃、知り合いの紹介で漢方薬にお世話になったことがあるので、今日は興味津々でうかがいました。大学をご卒業してから漢方一筋だそうですが、どんなきっかけでこの道に進まれたのですか?
池田 ある時、体調の悪かった母親が漢方薬を飲んで症状が改善しましてね。そのことがきっかけで興味を持つようになりまして。ただ、当時は漢方について教えてくれるセミナーもほとんどなかったんです。そこで、漢方薬局を営んでいた人を探し訪ねて漢文の専門書を読む勉強会に通い、漢方薬局にも勤めて知識を深めていきました。
鶴久 ご自身の努力で道を切り拓かれてきたわけだ。裏を返すと、漢方はまだまだ世の中に十分に浸透していないとも言えそうですね。
池田 そうですね。江戸時代までは医学と言えば漢方でしたが、明治の文明開化で西洋医学が規範とされ、漢方は一旦、医学会からおろされてしまった。それでも漢方の良さを知った偉大な先人の皆さんが、その意志を脈々と受け継いできてくださったこともあり、ようやく最近になって、価値が見直されてきているという状況です。
鶴久 私の知る漢方は、現代医学とは異なるイメージのものなのですが、いかがですか?
池田 はい。漢方は自然界の摂理、法則を説明している中国の陰陽五行説に基づいていて、人間も自然の一部という考え方なんですよ。
ですから、西洋医学では症状だけに目を向けるのに対し、漢方は人全体を見て原因を探る。その過程で、自然にヒントを求めるのが漢方でして。言わば、陰陽五行説の医学分野と言ったところですが、時代を経るごとに医学的な整理、解釈の精度がどんどん上がって、症状の改善に役立っているのです。