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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

深まる絆、高まる信頼
塗装で大切な財産を守る

 

交換日記で絆を深める

 
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社員旅行で行った沖縄にて。砂浜に書いた「絆」の字に結束を誓った
前園 では失礼を承知で、倒産の経験は、その後どのように活かされていますか?
 
 会社を大きくしようと焦りすぎて倒産させてしまったと話しましたが、その前も、決して絆を大切にしていなかったわけではないんです。ただ、人間は時として大切なものを忘れてしまう。だから常に思い出せるよう、社名に留めました。
 
前園 形に残すという意味で、社名にすることほどいい活かし方はないかもしれませんね。でも、塗装って、頻繁にリピートのある仕事ではないでしょう? 例えば、建物の外壁を塗ったら、次の仕事の発注は10年後とか20年後とか、長いスパンになると思います。そうした単発的な仕事の中で絆を深めるのは難しいのでは?
 
 おっしゃる通り、特に個人の施主様とは信頼関係を築くチャンスに恵まれにくいです。なので、「交換日記」を取り入れています。施主様と職人との間で1冊のノートを共有して、職人のほうからは、例えば工事の進捗状況とか、お礼などを記していきます。施主様には、何でもいいから気付いたことを書いていただくんです。
 
前園 口で伝えるので良さそうなものなのに、あえて“書く”ことの意義というのは?
 
 過去の日記帳をご覧になりますか? 施主様にもよりますが、たくさん書いてくださるお客様もいらっしゃいますよ。
 
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前園 うわっ、本当だ! ・・・なるほど、最初は社交辞令程度なのが、だんだん濃い内容になっていきますね。
 
 面と向かって相手に何かを伝えるというのは、簡単そうで実は難しい。特に、一般的に強面のイメージがある職人に「ここはどうなっているのか」とか、「このようにしてほしい」といった質問や要望は、なかなか口にできないと思います。職人が帰ってから気付くことだってあるでしょうしね。日記はそれをカバーできるんですよ。
 
前園 おっしゃる通りで、施主さんが突っ込んだ質問をして、それに職人さんが丁寧に答えているやり取りが多いですね。塗装に限らず、施主さんは自分のいない時にどんな作業をされているか不安に思っている部分もあると思いますが、この日記があれば安心しますね。
 
 職人からすれば当たり前のことでも、施主様からすれば疑問に思われることだってあるはずです。そうした疑問に都度答えていくことでも、信頼関係が生まれるんじゃないかと思っているんです。