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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

深まる絆、高まる信頼
塗装で大切な財産を守る

 

2人の自分、どっちを選ぶ?

 
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前園 実は、僕も一時、休業せざるをえない状況に追い込まれたことがあります。それまでは極端に言えば「仕事は黙っていても来る」と思っていたところがありましたが、そんなはずはない。仕事がある状況というのは、その中にいる時は当たり前に感じますが、決してそうじゃないんですよね。
 
 失って初めて気付くことは多いですよね。前園さんも、失敗を経て初めて気付きを得られた。
 
前園 はい。あの時は支援してくれる人のありがたみを痛感しました。あ・・・これが絆だ。
 
 そう、それが絆です。失敗し、身近にいてくれた人が去って初めてその大切さに気付く。人は急に成長できるわけではなく、様々なことを経験して大きくなっていく生き物です。私はある人から「一人前の男になるには倒産と、闘病を経験しろ」と言われたことがあって、当時はよく意味がわかりませんでしたが、その後に経験しましたので、今ではよくわかります。
 というのも、私は、神経麻痺で目を閉じることもできない症状が続いた時期がありましてね。脳梗塞の兆候もあったので、あの時は、「このまま動けなくなるんじゃないか、もしかすると死んでしまうんじゃないか」と病院のベッドで懊悩しました。
 
前園 不安、孤独、焦り・・・いろんな感情が襲ってきたとお察しします。
 
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 はい・・・。しかし1つ、知ったことがありました。死に直面させられて、「どうせ死ぬんならもっと好き勝手にやればよかった」とやけっぱちな気持ちが出てきた反面、「もっと家族を大事にすればよかった」とか、「従業員を大事にすればよかった」とか、周りの人間のことを思いやる気持ちも出てきたんですよ。それと、「もっといろんなことに挑戦すればよかった」という前向きな後悔も。
 その時は幸いに、段々と後者の気持ちのほうが優勢になってきました。でも、人生が続く限り、“自暴自棄に走る”か“他者を思いやるようになる”かの分かれ目には遭遇します。その都度、どちらを選ぶかを意識していこうと肝に銘じています。
 
前園 お言葉に重みがあります。関社長に比べたら、僕はまだまだ半人前だ。
 
 経験ですよ、何事も。アクシデントが起きるのは仕方がない。その後どう考えるか、どう活かすかが大切なんです。平凡に生きていたら「苦しい」「楽しい」といった感情も育ちません。その意味で、病気になったのは今振り返るといい経験でした。