B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

正しく漢方を現代、そして
未来の医療への架け橋に

 
 
121107_k0908_d02.jpg
漢方系特許「大和久式熱寒法」のチラシ
相原 明元堂さんはすごく良心的な漢方のお店で、安心して通えそう! ところで、あのチラシは何ですか。
 
大和久 「漢方食養生・大和久式熱寒法」 ですね。日常の食生活で摂取する食べ物の熱性、寒性を数値化した、日本で唯一の漢方系特許でして、「料理食品の検査方法及び調整方法」 として取得しています。たとえば冷え性の人が知らずと身体を冷やすものばかり食べていたら、具合が悪くなりませんか? そこで熱性の食品を上手に使って調整をする。また、「成分的に良いから身体に良い」 とされているだけで健康食品が多く出回っていますが、人それぞれに体質は異なりますから、整理分類し、漢方医学の視点から体質的弱点を効果的に補えるアドバイスをしています。
 
 

薬の効かせ方を追究するのが漢方

 
相原 健康食品も、本人の体質によっては良い効果をもたらさない場合もあるんですね。漢方にもっと興味が出てきました。でも、漢方って他の医学と何が違うんだろう。あまり理解されないまま、異質なイメージだけ先行してませんか?
 
大和久 私たちの努力不足もありますが、全く理解を得られていない実感がありますね。漢方の専門家が行う療法は、現代医学的な病名を対象とするのではなく、症状を基本にし、根本的原因を分析する。つまり原因療法と対症療法が統一されたものだと言えます。現代医学は病気に対して 「効く薬を探す」 のですが、漢方医学は、既知の 「薬の効かせ方を追究」 する。これは、書物の上での私の恩師、龍野一雄医博の遺した言葉です。
 
相原 病状を主体に、その状態を生み出している根本の原因を探り出し、そこを改善していくと。でも、現代医学だけでなく、漢方の中にも違いがあるんですよね。
 
121107_k0908_ex02.jpg
三国志の時代から伝わる『傷寒論・金匱要略』を原文で研究
大和久 はい。私が専門としているのは漢方の中でも古方(こほう) と呼ばれる日本で発展した学派で、これは西暦200年頃、後漢から三国志の時代あたりに成立した 『傷寒論・金匱要略』 に収載されている200余りの処方のみを使います。限られた処方の一つひとつを10にも20にも応用して対処する。現代の中国の中医学は、古方よりも新しい時代の明や清といった近代の理論を引き継いでいます。使う処方や薬物も無数。だから、同じ漢方といっても、病理や薬理の解釈、理論が随分と異なるんですよ。そこを踏まえてお話しないと混乱を招いてしまう。まぁ、結果的に得る成果は同じでも、使う薬が全然違ったりするわけですね。
 私には不要ですが、近代の処方も優れていますので、当店では 「飲んでみたい」 というお客様のお求めに応じて最低限の処方は取り揃えています。思ったように効けばそれも正しいですから。