防水工事業のかたわらで
若者の更生を本気で支援
過去の生き様があったから、今の自分がある
矢部 そんな状況から、思い切ってご自身の会社を設立されたきっかけは?
佐々木 結局、それから2つばかり防水を手がける会社を経験しまして、最後に勤めた会社が私の在籍中に倒産したんです。そのときに、会社清算の手続きに協力し、その後抱えていた職人や下請け業者からの強い要望を受け、自分で法人を立ち上げるに至りました。元の会社への義理もありますからお客様は新規で開拓し、そのうちに大手ゼネコンさんの仕事をいただけるようになって、10年経った今では、多くのお客様から信頼していただけています。
矢部 素晴らしいですね。経営者となり、親御さんへの恩返しもできるようになったのではないですか。
佐々木 両親への恩返しは、まだまだ足らないですよ。でも、起業して仕事が順調に推移し、25年ぶりに母方の本家へ帰省した時に感謝の言葉を贈ることができたのは・・・嬉しかったですね。
矢部 どのような言葉を贈られたんですか。聞かせてください。
佐々木 地元ではとにかくヤンチャでワルのイメージだけだったから、両親もずいぶん肩身の狭い思いをしていたようなのです。だから私は、感謝と謝罪を込めて、「過去の生き様があったから、今の自分がある。それも育ててくれた両親のおかげです。ありがとうございました」 と言いました。
矢部 素敵です! ご両親もお喜びになったでしょう。
佐々木 喜んでくれましたね。私は、22歳まで過ごした福岡での日々もそうですし、社会に出てからもたくさんの失敗をしてきました。しかし、どの経験も無駄ではなかった。そう気付いてからは、両親への感謝が社会への感謝に気持ちがつながって、今の自分があることの恩恵を社会貢献の形で返せないだろうかと考えるようになりました。とにかく人のために何かしたい意識が高まっていったのです。
矢部 それも素敵です。その後、どのように社会貢献を実践されたのか、教えてください。
佐々木 会社として、経営難に陥っていた海運企業をサポートしたり、過去に犯罪をおかしてしまった人材も積極的に採用して、仕事を通じて彼らの更生を支援する活動を続けてきました。彼らはどうしても色眼鏡で見られてしまいがちですが、積極的に更生しようとする人間にはチャンスを与えてあげたい。彼らの中にある良い部分、光る部分を引き出してあげるのが私たちの役目だと思っています。