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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

日本茶販売企業が果敢に挑む
お茶文化復興の試み

本物のお茶のおいしさを
若い世代に伝えたい

 
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井ヶ田 川村さんは家にいるとき、急須でお茶を淹れられますか?
 
川村 急須で淹れることもあるし、粉末を使うこともあります。和菓子をいただくときって、急須のお茶が欲しくなりません? 渋さの濃度が全然違う気がするんですよ。
 
井ヶ田 ああ、よかったです。家でペットボトルのお茶を飲まれていたら、どうしようかと。実はペットボトルのお茶というのは、厳密に言えばお茶ではないんですよ。
 
川村 えっ、本当に?!
 
井ヶ田 ペットボトルのお茶というのは、実は清涼飲料水なんです。ボトルの裏を見ていただいたら、そう書いてありますよ。ですから、お茶の有効成分であるカテキンやテアニン、タンニン、ビタミン類はほとんど含まれていないと思います。本当にお茶の場合は必ず、「緑茶」ないし「煎茶」と表示されているはずです。
 
川村 えーっ! それはビックリです。私は子供の頃から急須でお茶を飲んできましたから、本当のお茶を知っていますが、じゃあペットボトルのお茶しか飲んだことのない海外の方は…?
 
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井ヶ田 私がお茶カフェを始めたのも、まさにそこなんです。本物のお茶の味を知らない方が最初にペットボトルのお茶を飲まれると、「あ、これがお茶なんだ」と思ってしまう。
 川村さんのお母様の世代では、食卓に必ずお茶があるのが一般的だったと思うんですが、今その習慣がなくなりつつあるんです。急須のお茶のほうが絶対に美味しいし、健康にもいいんですが、「後始末が面倒」などの理由から家でお茶を淹れる習慣がなかったり、急須そのものが家にない方が結構いらっしゃったので、カフェという形でご提供させていただこう、と。この新宿本店も、以前は物販専門の昔ながらのお茶屋さんだったんですよ。
 
川村 業界側から積極的にPRしていかないと、状況は変わりませんものね。 カフェにされて、来られるお客様の層は変わりましたか?
 
井ヶ田 それはもう。がらっと変わりましたね。50~70代の比較的ご高齢の方々がメインだったのが、今はOLの皆さんもたくさん来てくださいますし、新宿御苑という場所柄、サラリーマンの男性も多く来店してくださいます。カフェがある店舗のもうひとつの茅ヶ崎店は、お客様の95~96%が女性で、若年層から60代の方まで幅広く来てくださっています。
 
川村 今までにないターゲット層にお茶の魅力を伝えられているわけですね。
 
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井ヶ田 そうです。「一葉」のメニューでいちばん安いお茶が500円。これって、結構いいお値段ですよね。だって、普通に食堂に行って「お茶」と言えば、タダで出てくるわけですから。それをここでは500円で提供しているわけで、抵抗なくお金を払っていただけるのは、ペットボトルのお茶しか知らない世代に本物のお茶がアピールできている証拠だと思います。
 
川村 お水だって買って飲む時代なんだから、お金を出して本物のお茶を飲んで健康になろうとする考えになったっていいですよね。
 
井ヶ田 そうですよ。本当にそう思います。