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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
ドラマ『あなたの恋人、強奪します。』の見どころについてうかがうと、「感情に強弱をつけて演じたので注目してほしい」と語ってくれた尾碕さん。演じていた際に楽しかったシーンについてもうかがった。
 

理解が深まって楽しみを得た

 
楓の回想で、まだ指が自由に動く頃の過去があります。その明るい頃の楓と今の楓の落差を、強弱をつけて丁寧に心の動きがわかるように演じたと思っていますので、ぜひ注目していただきたいです。ストーリーも、とてもハラハラするものになっています。「楓は大丈夫なのかな」「最後はどうなってしまうんだろう」と楽しんでほしいです。
 
演じていて楽しかったシーンは、ほかの共演者の方と談笑しているシーンです。私は一度ツボにハマってしまうとなかなか笑いが止まらなくなってしまうんですよ。そのときも、些細なことで笑いが止まらなくなってしまって(笑)。実は爆笑の一歩手前まで笑っていましたね。とても楽しい現場でした。
 
ただ、最初から今のようにお芝居を楽しめていたわけではありません。むしろ苦手であまりやりたくないと思っていました。小学生の頃に演技のレッスンに通うようになって、「なんでこんなに大勢の人の前で演技をしなければいけないんだろう」「恥ずかしい」と感じていましたね。
 
その後、高校に進学した頃に小劇場に出させていただく機会がありました。そのときに、舞台に立つということはプロなんだから、しっかりと責任を持って臨まないといけないと感じるようになったんです。私はもともと負けず嫌いなので、絶対に失敗したくないと思っていましたし、「すごいね」「うまかったよ」と言ってもらいたかったんです。褒められて伸びるタイプだと自覚していました。
 
そうして実際に舞台に立ってみると、「あれ? なんだか楽しいな」と思いました(笑)。おそらく、それまでは演技を指導されても、どうして指摘を受けているのかわからなかったのが楽しめていない要因だったんだと考えています。だんだんと経験を積む中で、どういった演技をしてほしいのかがわかってきて、どのように取り組めば良いのか理解できるようになりました。自分の中で芝居について理解が深まったからこそ、楽しめるようになったんだと思います。
 
 
芝居に対する理解が深まる中で、納得のできる演技の経験などはあるかお聞きすると、「自己評価は上がらないままかもしれない」と答えてくれた尾碕さん。完璧にできたと思うことはないのだという。
 

演技の上達のために

 
現場ではよくできたなと思っても、実際にオンエアを見ると「こんな感じだったかな?」と思うことはよくあります。でも、周囲の人は「良かったよ」と言ってくれることもありますから、なかなか正解は見つかりません。自分の演技をうまいとか、完璧にできたなと思うことはないですね。
 
さまざまなドラマや映画、舞台を観る中で、尊敬している先輩はたくさんいらっしゃいますし、勉強させてもらっています。もちろん先輩方だけではなく、年下の役者さんや子役の子たちを見ても「私よりも全然上手だな!」と思うことがあります。試行錯誤する日々です。
 
個人的に、素敵なお芝居をする方は、歌もうまい方が多いと感じています。例えば、バラエティ番組などで歌を歌ってみたらとても上手だったという女優さん、俳優さんってたくさんいらっしゃると思いませんか? アーティストの方が映画やドラマにゲスト出演して、とても演技が上手だったということも多いイメージがあります。そういった方々は、耳が良いんだと思っているんですよ。
 
聞いていて心地良い声のトーンや、怒っているように聞こえるトーンなどを感覚で掴めているんじゃないかと予想しています。だから、演技を上達させる一つの手段が、耳を鍛えることなのかなと思っているんです。最近はそういったことも意識して演じてみるものの、映像を見てみると思っていたトーンと違っていることもあるので難しいです。