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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
周囲のサポートもあり、フラットな気持ちでオリンピックに臨めたという登坂さん。ただ、試合を勝ち進む中では緊張が高まっていったという。その緊張に打ち勝つには、どうすれば良いのだろうか。
 

冷静に自分がどうすべきなのか考える

 
実際にオリンピックの舞台で戦う中で、一回戦のときは余裕もあり「今日本でテレビに映っているのかな」と思ったことを覚えています。ただ、トーナメントを勝ち進み準決勝、決勝に臨む際には自分の中で緊張が高まっていくのを感じました。事前に対策を考えていたときから、接戦になるのはわかっていたんですよ。
 
ただ、緊張するのは当たり前のことです。特に、勝ちたいと思えば思うほどするものですよね。そのときに大事なのは、緊張している自分をしっかりと受け入れることです。そのうえで、冷静に自分がどうするべきなのか考えることで緊張に打ち勝てると思っています。
 
そうして金メダルを獲得したときは、ただただ嬉しいの一言でしたね。競技人生の中で、一番幸せな瞬間でした。純粋に、「嬉しい」という気持ちのみに包まれたのは、あのときだけだったと思います。嬉しいと思ったのは私だけではなくて、応援してくださっている方々もそうだったと思うんですよ。
 
人は誰しも、大小さまざまな悩みを抱えていますよね。でも、金メダルを獲得したあの瞬間だけは、私も、現地で応援してくれていた人も、日本でテレビを通して見てくれていた人たちも、全員が「やったぞ!」という気持ちになれたと思うんです。その一瞬をみんなで味わえたことが幸せです。みなさんと気持ちを共有できた嬉しさも感じていました。
 
 
オリンピックで金メダルを獲得するという大きな結果を残した登坂さんにその要因をお聞きすると、大事なのは練習への取り組み方だと答えてくれた。その積み重ねの先に、結果があるのだという。
 

一日一日の積み重ねが結果につながる

 
大切なのは一日一日の積み重ねです。その一日をどれだけ大事にできるか。自分が持つ目標に対して、どれだけ熱い思いを持てるかだと考えています。例えば、腕立て伏せでも一回一回90度腕が曲がるまで頑張るのか、30度でやめてしまうのか。そういった積み重ねの先に結果があるんです。
 
試合に負けると後悔が残るでしょうし、「あのときこうしておけば良かった」と思いつくことがあるでしょう。そういった要因を、事前にどれだけ潰して試合に臨めるかが重要です。妥協せず、日々の練習に取り組むことを常に心がけていました。
 
スポーツをする中では、センスもとても重要です。私は、周囲にいた多くの優秀な選手と比べると、それほど大きなセンスは持っていなかったと思っています。それでも、日々の練習に真摯に取り組むことで金メダルという結果を残すことができました。練習への取り組み方によって、チャンスをつかめるんだと証明できたと思っています。
 
現在は、子どもたちにレスリングを教える活動もしています。その中で、私のこれまでの経験から得たことを伝えていきたいと思っているんです。ただ、今大事にしているのは、まずスポーツを楽しんでもらうこと。一つのスポーツに決めて、その道に打ち込むのも良いと思います。でも、子どもたちには多くの可能性があるので、まずは体を動かす楽しさを知ってもらいたいんです。その先で、いつかレスリングを選んでくれたら嬉しいです。
 
私がずっとレスリングを続けてきたのは、試合に勝つことで喜んでくれる方々がいるからです。子どもの頃は、勝ったことで喜ぶ両親の顔を見るのが好きでした。だんだんと応援してくださる方が増え、みなさんに喜んでもらうことがレスリングを続けるモチベーションになっていました。