舞台の楽しみ方を若手に伝えたい
どの作品でも全力の芝居を提供する
年齢を重ねて、オイラが映画やドラマに出ることを喜んでくれる人、熱心に応援してくれる人がいることがわかってきました。だから、その方々に喜んでもらうために一生懸命にならなきゃいけないなと思うようになったんです。
当時、オイラはラジオ番組のパーソナリティも務めていました。だから、撮影中のドラマのスタッフに「ラジオの生放送が夜中まであるから、この日に撮影するのは難しい」と言ったんです。すると、そのスタッフは「待ってます! ラジオが終わったら来てください!」と言うんですよ。マジかぁ! と思いましたね(笑)。
スタッフのみなさんが、命をかけて作品をつくっていることが、そのときようやくわかりました。だったらオイラも一緒に、命をかけて取り組まないとこの人たちに失礼だなと思ったんです。それまではどこかで「どうせ編集されちゃうんだろ」と思っていたのが、カットされないように頑張らなきゃなと考えるようになったんです。ある種の責任感が生まれたのかもしれません。
そうして意識を変えて仕事に取り組んでいくと、舞台作品でも映像作品でも、俳優がやらなきゃいけない仕事はそう変わらないんだなと思うようになったんです。舞台の上で芝居をしているときも、カメラの前で芝居をしているときも、全力で臨むこと。それだけなんですよね。結果として映像作品では後から編集されることもあるけど、俳優側が提供するものは変わらないのか、と今は考えています。
20代まではアウトローな役しか演じたくないという気持ちがありました。でも今は、マイホームパパとかを演じているとおもしろくて自分で笑っちゃいますよ。子どもを抱っこしているときに、心の中では「オイラ、こんな良いやつじゃないのにな」って思っています(笑)。