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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
お芝居の世界に入り、今年2021年で28年目となった鈴木さん。長年経験を積む中で、仕事に対する価値観にはどのような変化があったのだろうか。
 

すべての経験が糧になる

 
デビュー当時はとにかくがむしゃらでしたね。多くの先輩方がいる中で、鈴木砂羽として必要とされなければいけませんから。役者の仕事は、ただ言われたことをやるのではなく、自分の中身で勝負しなければいけません。だから、自分の内面を見つめる時間が多かったですね。いかに世界観を広げるかが大切です。
 
自分の世界観を広げるには、さまざまな経験を積むことと、多くの気付きを得ることが必要だと考えています。役者は人の日常や非日常を演じますよね。それに対する経験則がないと、演技として落とし込むのはなかなか難しいんですよ。だから、プライベートで辛いことや苦しいことが起きても、それがいつか演技の糧になるんです。
 
私の今までの人生は、大変な出来事が結構あったなぁと思っています。子どもの頃は、「変わっている」と言われて悩んでいた時期もありますよ。どうしたらもっと楽な気持ちで生きられるだろうと考えていました。その中で気付いたのは、とにかく行動するのが大事だということです。
 
自分の中で「こうなりたい」と求める気持ちがあり、それに対して行動できればその分世界は開けるんです。変化を恐れず行動を続ければ、進んだ先でいろんな知識を得たり、さまざまな方との出会いがあったりします。「こうでなければいけない」という固定観念をなくして、自分の考えを自由に持つこと。そうすれば、生き方として楽になれると気付いたんです。
 
 
バラエティ番組に出演したり、エッセイ漫画を描いたりとさまざまな世界で活躍を続けてきた鈴木さん。垣根を超えた挑戦は、今の生き方にたどり着くために模索した道だという。
 

自分を俯瞰で見られるように

 
当時は、とにかくいろんな場所に行ってみたかったんです。エッセイ漫画を描いたのは、絵画教室を手がけていた両親の影響もありますね。試しに描いてみると「楽しい」と感じられたので、一つの表現方法として挑戦してみました。
 
もちろん楽しいことだけではありませんでしたよ。連載は、本当に大変でした(笑)。締め切りが迫ってくるのはプレッシャーでしたし、手は腱鞘炎になりかけていましたね。そんなときに限って、撮影も詰まっていて。漫画を描いて寝ずに撮影に行ったこともあります。「なんでギャグ漫画を描きながらこんなに辛い思いをしているんだ」と思っていました(笑)。
 
バラエティ番組に出始めたときも、「鈴木砂羽なにやってるの?」と言われることがありました。でも、そういったことに挑戦したからこそ今の私があります。さまざまな経験を積んで、今ようやく鈴木砂羽として第二ステージに立ったのかなと思っているんです。自分で思っているだけですけどね(笑)。
 
自分のことを俯瞰で見られるようになったのが大きな変化ですね。30代の頃は本当に忙しくて、朝に映画の撮影をして、お昼から夕方にかけてドラマの撮影。夜は舞台の本番といったスケジュールも珍しくありませんでした。当時の自分に「すごい頑張ってるからそれでOKだよ!」と言ってあげたいですね。昔は周囲の人と自分を比べて落ち込むこともありましたから。
 
人によって意見や評価は違います。その中で、最近は自分の評価を大切にして良いんだと思えるようになりました。50歳を前に、そういった考え方になれたのは、とても良いことだなと思っています。