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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
2020年でデビュー35周年を迎えた石井さん。長い活動期間の中で、音楽や仕事に対する考えはどのように培われていったのだろうか。
 
 

誰かの逃げ場になるように

 
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長く活動を続けているからすごい、なんてことは微塵も感じていません。デビューしたての新人が素晴らしい曲をつくることだってままありますからね。そういう人には、どれだけ年下であっても思わず敬語を使ってしまいますよ(笑)。この業界で生きていくうえで、年齢や芸歴はさほど関係ないと感じています。肝心なのは、何ができるかです。
 
僕が昔から目指しているのは、唯一無二の存在であること。「この人にしかできない」「ほかにこういう人はいないね」と言われるような人のことです。ミュージシャンで言うと、中島みゆきさんのような方ですね。自分自身を振り返って何かを考えさせられるような歌を歌えるのは、中島さんのほかにいないと思いますよ。「これをやってもらうなら、あの人しかいない」と言われる人は、本当にすごいです。
 
音楽は楽しいものであるからこそ、人の逃げ場にもなると考えています。つらいことを一瞬でも忘れるための手段なんですよ。楽しい気分のときには、明るい楽曲でさらに盛り上がれるように、悲しい気分のときには、それを慰めてくれる曲があります。例えば、失恋して悲しいときにこそ聞きたい曲などもありますよね。それも音楽の楽しみ方の一つです。
 
米米CLUBの楽曲で言うと、みんなで盛り上がる「FUNK FUJIYAMA」のような曲だけが“楽しい曲”というわけではないと思います。憂いのある曲が、誰かを救う曲になるかもしれません。ふとしたときに気持ちに寄り添って、気分転換になるような曲をつくれたら嬉しいですね。
 
自身をアーティストと自認する人であれば、歌であれ絵画であれ、つくった作品が誰かの役に立ってほしいと感じているのではないでしょうか。表現の違いはあれど、それがアーティストの仕事だと思っています。どれだけ精神面が強い人でも、つらいときはあるはずです。気持ちが落ち込んでいるときに、風邪薬のように聞いてもらえる曲をつくっていきたいですね。